社会問題小説・評論板
- Re: 私は反旗を翻す【若干実話】 ( No.6 )
- 日時: 2010/12/13 17:00
- 名前: 涼原夏目 ◆YtLsChMNT. (ID: m26sMeyj)
第四話「好きな色」
あれから二日後。私は絵画のモチーフを「花」に決めて植物図鑑の花などを参考にしていた。
部活の雰囲気はあの日を境に悪くなる一方で、楽しかった部活の雰囲気は何処へ行ったのかと思う程。
唯一幸いな事と言えば先輩達が私を応援してくれたことだろうか。
だけど、それでもやっぱり時間は無い。
時間がほしい。
せめてもうちょっと描く時間がほしい。
「はぁ……」
重い溜息を着いて、絵の具を出してキャンパスへと向かう。
絵を描く事はとても楽しいけれどこんな事情があって描く絵はあまり楽しくない。
けれど丁寧に仕上げて賞は取りたい。
……そんな感情がぐるぐると回って自然と溜息が出てしまった。
暑かった部室には先生の強い要望で扇風機が設置されて寒いくらいに涼しかった。
寒いのが苦手な私は寒さを堪えるのと絵を描くのを同時進行している為やや辛いものがある。
先輩達はと言うと先生に特別反抗はしなくなったけど睨んだり舌打ちしたりはしていた。
……やっぱりこれも当然だと思う。部活は顧問のものではけして無いのだから。
(どうしよ……何か上手く出来ないな……)
私の絵はなかなか綺麗に仕上がらない。と言うより自分の思い通りに描けない。
実はこれはある意味先生のせいでもある。何故かと言うと自分の好きな色で描こうとすると
「その色は駄目」
「こっちの色の方が綺麗」
「こっちの方が見栄えが良い」
……何て言ってきて勝手に色を塗り替えられてしまうのだ。
先輩方がこれに舌打ちをしてくれたのは本当に有り難かった。私でさえも怒りたくなったものだから。
しかも先生が良く使う色は濃い暖色系。嫌いではないが寒色系が好きな私はあまり使いたくない色だった。
その上先生の私服は大抵暖色系なのを考えると、単に自分の好きな色なんじゃないの? とも思う。
やる気がほぼ消えうせている気がした。何で先生にこんなに言われないのかとすら思える。
涙は出て来ないけどやっぱりストレスのような物がたまっているような感じはした。
何しろ先生の好みに合わせないといけないと思うので、趣味の合う友人には相談出来ない。
……一人で抱え込んでいるようなものだった。
まぁ、被害妄想かもしれないけど。
(あ、先生にちょっと部室を使わせてもらうよう言おう……)
憂鬱になる気分を何とか取り払い、面相筆を机において椅子から立ち上がって先生の元へと向かった。
腕を組みながら扇風機の風に当たっている先生に何処か怒る自分の気分を抑えるのに必死になる。
今、先生が嫌いかと言われればはいと答えられると思う、と言うより答えたい。
そんな気がした。