社会問題小説・評論板

Re: 私は反旗を翻す【若干実話 参照700突破ですと!?】 ( No.159 )
日時: 2011/01/22 21:02
名前: 涼原夏目 ◆YtLsChMNT. (ID: m26sMeyj)

  第二十九話「脅迫」

時は美術の授業中。
黒山の一件があり、小島はややクラスの人のジト目を避けるようにして無理やり授業をしていた。
……同じ事をもう十回も言っている。あぁ、またかよ。
私はいつも以上に口(と言うか心の声)が悪くなるのを感じつつ、授業を微妙に聞いていた。
黒山と小島が何かを隠していると考えれば、そうなるのも当然なんだろうけれど。


(……にしても、黒山がねぇ…………)


ふと自分の隣の黒山に目をちらりと向けてみる。相変わらずの無愛想な表情。

……自分から(一応)人を傷つけるような事を言わなさそうな黒山。
……今日は小島と何か共通項を持って私を(一応)傷つけた黒山。

どっちが、黒山の本心なのだろうか。なるべく前者が本心である事を信じていたいものなのだけれど。
ふとそんな事を考えてふぅ、と静かにため息をついてから黒板を見てみる。
教壇に立ち、二十回目になる同じ事を繰り返し言い始める———小島。


(小島が絡んでいると考えたいけど、いくらかポジティヴ過ぎるかな……)


あまりポジティブ過ぎても今後の復讐に悪影響を及ぼしそうなので止めておく。
そして私が何かを思考する時に良くやる片手の人差し指を顎に当てるポーズをしながら、黒山の事を考えた。

…………まぁ、何回考えても結果は同じ。堂々巡りなのだけれど。


「おーい」


ふと、後ろからあまり聞き慣れない声が聞こえた。
誰かと思い後ろを振り向くと其処には長い前髪の黒髪が特徴的な佐久間斎が人差し指で黒板を指差しながら微笑んでいる。

……呼んだのに前を向けって、何用?

私は思考の片隅でそう思いつつも黒板を向く。すると佐久間は私にしか聞こえないくらい小さな声で話を始めた。


「聞こえる? 聞こえたら机一回叩いて」


何だと思いつつも私は言われた通りに机を一回叩く。すると佐久間は「聞こえてるね」と少々面白そうに言う。
そして、いきなりとんでも無い事を言い出した。


「あんたの隣の……黒山さ、脅迫されてんだって」


…………は? 脅迫? 黒山が? 
………………小島、に?

私は表情を何とか平静に装いつつも心の中は驚きと得体の知れない焦りでいっぱいになった。
そして佐久間はそんな私の心情を汲み取るようにして、ゆっくりと話し始めた。