社会問題小説・評論板

Re: 私は反旗を翻す【若干実話 参照800突破!】 ( No.177 )
日時: 2011/01/23 15:50
名前: 涼原夏目 ◆YtLsChMNT. (ID: m26sMeyj)

  第三十四話「新展開」

「……金を渡すから真白の虐めを阻止しろって言われた、とか?」


黒山は知るか、と言う風にそっぽを向く。
けれどその顔は青ざめていて、手も少し震えていた。
そして椿はゆっくりと、それでいて鬼気迫るように話す。


「言われてないの?」
「言われてるわけねぇだろ」
「へー……じゃあ、何でわざわざそっぽ向く必要あるの?」


事情聴取、と言ったのはあながち間違いでもない。
やや張り詰めたような雰囲気が私達三人の周りを包み、圧迫する。
そして黒山は黙り込み、沈黙まで流れてきた。
けれどその沈黙はずっと続かず、椿が再度話し始める。


「じゃあ黒山さ、真白を傷つけたくて言ったとでも?」
「……違ぇよ」
「だったら言う必要無いよね? ……どうして?」


椿がそう言うと同時に黒山がガタッ、と乱暴に椅子から立ち上がった。
そして自分の中にある何かを吐き出すかのように、叫ぶようにして、話す。


「うるせぇな! お前だって俺の置かれてる立場なんてロクに知らねぇだろ!!?」
「…………だからこそ、だよ」
「は………………?」
「黒山が本当に私が嫌いならまぁそこまでだけど、話が違うんだったら……聞きたいし」


激昂したせいで顔が赤くなっている黒山を見つめながら、冷静に言う。
すると黒山はカタン、と力無く椅子に座って俯いた。


「……………………………」
「……………………………」
「……………………………そうだよ、俺は脅迫されてる」


——————遂に黒山はそう言った。


私は椿と顔を見合わせて頷き合うと、何故か黒山はいきなり顔を上げて私の肩を掴む。
そしてまた叫ぶようにして話し始める。



「……でも、悪いのは俺なんだ! 先生は、俺の親のせい……いや、俺のせいでこんな事になったんだ!!」



…………は?




私は驚きと疑問と戸惑いが隠せなくて、変な表情をしていた。