社会問題小説・評論板
- Re: 私は反旗を翻す【若干実話 十三話up】 ( No.35 )
- 日時: 2010/12/15 17:38
- 名前: 涼原夏目 ◆YtLsChMNT. (ID: m26sMeyj)
第十五話「溢れ出す、感情」
その後、椿達が私を慰めてくれて一応皆先生を嫌っている事も教えてくれた。
けれど傷のような気持ちはまだ癒えていなくて、そっとしておいてもらう事にする。
そして一時間目、二時間目……とぼーっとしている合間にも授業は進んでいた。
ふと気付けば四時間目終了。
HRさえもあっという間に終わって話し合いが始まる。
「真白ちゃん、頑張れよ!」
「「雪上っちファイト〜!!」」
「陰ながら応援しとく」
葉月、桜瀬・燐、椿の順でそれぞれ私に応援のエールを送ってくれた。
私はそんな友人の言葉でようやく先ほどの傷が癒えて、笑顔で頷けた。
……でも、この時私はまだ知らなかった。
これからある話し合いでどれだけの事が起こるかなんて。
知りたくも無かった。
また傷つく羽目になるなんて。
「雪上ー話始めるよー?」
先生がこちらを手招きしていた。
傷の癒えていた私は、幸い平常心で先生の元へと向かう。
そして気付けば静かになっている教室に私と先生だけが居た。
……何て嫌なシチュエーションなんだろう……。
私が内心溜息をついているのをよそに、先生は話を始めていた。
「はい、じゃあまず今部活無いから結構楽だよね?」
「…………そうですね」
早々にむかつきたくなったが、止めておく。
先生が身近に居ないのが楽といえば楽だし。
「それでさ……一年生にも悪気は無いと思うから……戻って来ない?」
…………は?
突然そんな意味の分からない事を言われ、口を思わずポカンと開けてしまう。
一年生に悪気は無い? ……誰の話?
しかし先生は勝手に話を続ける。
「まぁ、雪上にもちょっとマイペース過ぎるところとか、ほら人の話聞かないとことかあるじゃん?」
「はい…………」
返事をするけど、納得はいかない。
私にマイペース過ぎる所がある……?
人の話を聞かない……?
それは寧ろ、先生でしょう……?
どうして人の悪い所ばかり言うんですか?
自分の事はどうなんですか?
どうしてそんな簡単に人を傷つけるんですか?
「それにもう一度来て、何かあったら辞めれば良いじゃん?」
「………………」
話が勝手に進んでゆく。噛み合わない。
先生はどうやら私が友人関係のトラブルで辞めようと思っている様子。
しかも自分は何もかも理解しているかのような傲慢な表情をしている。
先生は私の事なんて、何も知らないだろうに。
それに……何かあったら?
何かあったらって、
もう、あるから辞めたいんですよ……?
「こっちとしても部員が減ると困るんだよね〜……まぁ、雪上の意志はどうなわけ?」
「…………辞めます。もう、辞めたいです……」
私はそう言う事しか出来なかった。
納得いかない事だらけだけど、とにかくもう部活を辞めたい。
考えてみれば作品を作りたいと言う意欲も、絵を描いていて楽しいと言う思いも全部、全部……
コイツのせいで失ったようなものだ……。
生徒の功績を当然だと言い、自分の好みの色しか使わせない。
その上
そう。私はもう分かっていたんだ。
もう、作品を作りたくないって……。
そして、傷つきたくないって…………。
分かってたんだ…………。
「はぁー……まぁ勿体無いけど、しょうがないかぁ……はいこれ退部届け」
先生は溜息をつくとあっさりと退部届けを渡す。
私は私でもう何も考えられなかった。
私の全てをぶち壊した相手に考える事などはない。
「ありがとうございました」
私はただ、そう一言言う事しか出来なかった。
そして退部届けをしっかり握って急いで教室から出る。
鞄は元々持っていたので教室からすぐに出られた。
「…………っ……!!」
駄目だ。
耐えられない。
もう終わったのに。
苦しくてしょうがない。
自分の全てを壊された事が悲しかった。
結局、存在を否定されたようなものだ。
「っ、あっ……! う、ぁぁっ……!!」
ボロボロと、涙が零れてくる。
止まらない。
止まらない。
感情に歯止めがかからない。
ずっと耐えてきたものが溢れている。
……そう、ずっと辛いのを我慢していた。
とても、苦しかった。