社会問題小説・評論板

Re: 私は反旗を翻す【若干実話 オリキャラ募集中】 ( No.56 )
日時: 2010/12/21 17:31
名前: 涼原夏目 ◆YtLsChMNT. (ID: m26sMeyj)

第二十話「最低」

「……え? え、えっと……何かな?」
「あれ、雪上さんの絵ですよね。コンクールで賞を取ったって雪上さんから聞いたんですけど、何でそれを発表しないんですか?」


……そう。
作戦とは簡単に言ってしまえば“私が部活を辞めるまで私を追い詰めたのは奴”と言う事を示す事なのだ。
夏休み明けの朝会で、私は部活を休部中だった為美術部の賞の事が公にされていない。
これを大いに利用している。
そして葉月にごく自然に答えるように彩華ちゃんが席を立ってそれに答えた。


「葉月、そりゃあ真白が部活を辞めたからだよ」
「えーっ!? 雪上っち部活辞めたの!!?」
「せっかく賞取ったのに!?」


彩華ちゃんがそう言うか言わないかの内に桜瀬と燐がやや大げさに答える。
クラスの皆も作戦の指示通り、ザワザワと騒ぎ始めていた。
案の定、小島は焦っている。


「ちょっと皆! 雪上の事は今関係な……「何が関係ないのでありますか?」


小島の言葉を遮るかのように今度は春ちゃんが席を立って話し始める。
普段大人しくて冷静で優しい、と言う感じの春ちゃんだけど今は何処か腹黒い気がした。
普段なら話を遮ったことにキレるであろう小島は今日ばかりはおどおどとしているだけ。


「ねぇ真白……何で辞めたの?」


すると椿が相変わらずの冷静な声でこちらに聞いてきた。勿論、これは作戦通り。
私は今までの事を思い出しつつ自然に出て来る険しい顔で話し始めた。


「え? あぁ……突然コンクールに作品を出展する事になっちゃって、それで先生と色々あってかな……ストレスがあったのか倒れて……辞めちゃったの」
「あ! そうそう! 俺真白が倒れたの見た! けど先生……」


彩華が興奮気味にそう言いながら小島の方をちらりと見る。
小島はその視線に怯えつつただ固まっていた。


「真白が金賞取った時……それくらい 当 然 って言ってましたよね?」


教室の空気が一瞬固まって、それからますます大きく騒ぎ出す。
けれど、これは全て事実。ストレスが溜まって倒れたのも、金賞とって当然と言われたのも……全部。


「ち、違うって! 雪上に悪い所があったりしちゃうせい……「その台詞もう一度言ってみろ。殺すよ?」


教室の空気が一瞬でピタリと凍てつく。
その凍てつく理由となった声の主は歯牙夏弥生。小学校の頃の私の親友で、最近転入してきた。
聞くところ、小島の親戚らしい。


「ち、違……!!」


小島はますます動揺し、拳がガタガタを震えていた。


「最低じゃん!」
「ひっで〜!!」
「何が当然だよ」
「意味不〜」
「最低」
「最低」
「最低」


最低コールが教室中に響いた。