社会問題小説・評論板
- Re: 私は反旗を翻す【若干実話 オリキャラ大募集中です】 ( No.79 )
- 日時: 2010/12/27 19:36
- 名前: 涼原夏目 ◆YtLsChMNT. (ID: m26sMeyj)
第二十二話「笑いの余興」
「いや〜ありゃー傑作だったね♪」
私はそう言いながら小島の顔を思い出して、また吹き出しそうになった。
現在椿の家(椿の部屋)で作戦会議と雑談中。
椿の部屋は入った瞬間、右に見える天井に近い二段ベッドと北の方にある様々な本が隙間無く埋め尽くされた本棚が印象的だった。
そして部屋のど真ん中に置かれた机を囲むようにして時計回りに私、椿、桜瀬、燐、葉月と言う感じに座っている。
「雪上っち黒すぎでしょ!」
「いやいや君の方が普段から黒いから」
「え〜何処が? うち真っ白だよ?」
「いやいや真っ白とかおかしいでしょ」
桜瀬と燐の繰り広げられる漫才のような会話に椿を除く私と葉月の二人は机を叩くほど爆笑していた。KY……もとい自分のペースを崩さない。
そして何か難しそうな小説を読みながら、会話に入っていた。
「と言うか由梨ちゃんもアンタも大胆だよね」
「え? そうかね? ふははははは」
「変な笑い方止めんかっ!」
今度は私と葉月の漫才のような会話に、同じような反応が返ってくる。
……うん、やっぱこれが日常だよね。
ゲラゲラ笑う桜瀬と、それを見ながら「笑いすぎ!」と笑っている葉月と燐と、おかしそうにニヤッと笑う椿。
小島のせいで崩れかけていた自分の性格も戻ってきたし、私もその会話に混じりながらそんな事を考えていた。
「……あ、それで作戦どうするー?」
笑いすぎて目尻から出て来た涙を手の甲で拭いながら私は皆に聞いた。皆も私同様涙を拭いて、ふと静かになる。
そしてその静寂を壊す風に読んでいた本を静かに机に置いた椿が言った。
「とりあえず、クラスは団結したし……最初は軽く、段々キツくしていけば?」
「うわ! つっきードSじゃん!」
「黙っとけ」
丁度椿の隣の桜瀬ががふざけながら言うと椿は表情一つ変えずにさっきまで机に置いていた本を再度手に持ってペシッと叩く。
うん、立派なSでしょ、椿さん。
そんな事を考えながら頭を押さえる桜瀬を哀れみに満ちた横目で見ていた。
「と言うか作戦どうする? 授業のシカトはもうやったけど、次は……もうちょっと毒吐いてみるとか」
「真白意外と黒いんだね」
「ははは、つっきーに言われたかないよ」
「黙っとけ」
私は椿に脳天チョップを食らい見事撃沈……しなかった。桜瀬に哀れみに満ちた瞳で見られた気がするが気のせいにしておく。
「まぁ、作戦はともかくとしても役割でも決めておいたら?」
そして人を二人叩いたとは思えない(まぁ普通だけど)平然とした表情で椿が言う。
役割……この前椿に命名した作戦隊長とかその辺だろうか。ふと私の想った疑問を解決するように葉月が話す。
「じゃあつっきーが作戦隊長とか?」
「えー……まぁやらない事は無いけど」
「「まさかのツンデレ〜?」」
やや面倒臭そうに溜息をつく椿を私と桜瀬で茶化してみる。すると椿がまたも平然とした表情で桜瀬の首根っこを掴む。
桜瀬は「ごめんなさいごめんなさい!」とお決まりの笑顔を見せながら椿に謝っている。
「何か君達だけで話進んでるね……じゃあうちスパイやる〜」
「スパイって何情報役? あ、桜瀬囮ね」
「え? 何でうち囮なの!?」
この会話で燐はスパイ(?)、桜瀬は囮(??)と言う役割に決定した。何だかスリルあるような気がして自然と口角が吊りあがる。
その後、葉月は生徒からの情報収集役、私が実行隊長(命名者:桜瀬)と言う役割になった。
そしてふと会話中に時計を見上げると時間が五時半を示している。もう帰らないと……、とそんな事を思いながら机に両手を置いて立ち上がる。
「じゃあ、うちもう帰るね」
「ん、分かった。」
そう言って私は椿に手を振ると他の皆もバックに荷物を詰め込んだりして扉から出る。
明日への愉しみからか、また口角が吊りあがっていた。