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社会問題小説・評論板
- Re: ピアニストへの復讐 ( No.12 )
- 日時: 2011/02/18 22:13
- 名前: 真由子 ◆NCebuCi9WY (ID: 87ywO7pe)
【計画】
「じゃあねー」
T路地で別れた友達に奏歌は手を振った。
振り返った奏歌は手を振ったときとは別人のような顔つきになっていた。
悪魔、というより悪女。
奏歌の頭の中は魅月に対しての苛々と嫉妬している自分への苛々しかない。
なんで、私はこんなにも苛々しているの?
魅月に自分を越えられたからよ、と自問自答する。
悪夢だと思いたい。
夢なら覚めて欲しい————・・・。
私が魅月よりも上手くなればいい。
けど、けど————・・・。
私は魅月とは違って勉強なんか出来ないし、体育もどちらかと言うと苦手だし。
魅月なんかいなければいい。
いなければいいのに。
魅月なんか————・・・。
気がつくと家は目の前だった。
なるべく音を立てないようにドアを開ける。
「奏歌ちゃん、お帰り〜」
奏歌の祖母がにこやかな顔で奏歌を迎える。
「ただいま」
暗い顔だったが、一応答えはした。
奏歌の雰囲気からか祖母は眉の間にしわを寄せた。
「奏歌ちゃん、顔色悪いけど大丈夫?」
奏歌は無理矢理笑顔を作って大丈夫だよ、と答えた。
いい家族をもってよかった。
奏歌はつくづく思う。
某小説に出てくる母親とか祖母は
「顔色悪いわよ?ちょっと体温はかってみなさい!」
なんていうお節介をくらうだけじゃ済まされない。
それこそ喧嘩の原因だろう。
ぐるぐると続く階段を上り、部屋のドアノブを握る。
その手に力が入る。
苛々苛々。
奏歌の足はかすかに震えていて、苛立ちを隠せないでいる。
部屋は氷が張る位に寒い。
奏歌は乱暴に鞄をベットに叩きつける。
そして、ピアノの前に座る。
「ふふっ・・・魅月なんか死ねばいいのよ」
そして、ピアノを思いっきり指で叩く。
気味悪い笑みを浮かべながら。
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