PR
社会問題小説・評論板
- Re: 生きる希望を下さい 【38−39話 更新】 ( No.137 )
- 日時: 2013/04/23 20:58
- 名前: 華世 (ID: gIDLNLr/)
♯40 未来へ向かって
暖かい春風を肌に感じながら、私は空を見上げる。
雲ひとつないとても綺麗な空だった。
そこに一筋の飛行機雲。水色のキャンバスに白い絵の具で真っ直ぐに線を引いたような景色だ。
「……綺麗ね」
クラスが良くなってから三週間が経った。
あと数日もすれば最高学年に進級する。もうこのメンバーで授業をする事もなくなるのだ。
昨日玲は皆にこう告げた。二年生の最後は皆で写真を撮ろう、と。
私たちはもちろん賛成した。だが、由麻と紗雪が入る事はない。
全員で撮れないのは、やはり残念だった。
最近、紗雪に会っていない。体調はどうなのだろうか。
今日の午後家を訪ねようと思う。
「前より元気だと良いなぁ」
そんな事を思いながら、私は机に向かう。
最高学年になると同時に“受験”という重荷が圧し掛かる。
どんなに嫌でも乗り越えなければいけない道だ。
私は前のような悔しい思いは二度としたくない。だから勉強するしかないのだ。
前まで強制的な学習を課せられ、テストの度ごとにプレッシャーで胸が押し潰されそうだった。
だけど今は違う。それなりに点数は取らなくてはいけないが、自分のしたい時に学習ができる。
それは何よりもありがたい事だった。
私は苦手な数学の問題集を開いた。難問がずらりと並んでいるため、躊躇いがある。
嫌とはいえ、説かない訳にはいかない。少しずつではあるが、私の手は問題を解いていく。
1年後に満開の桜を咲かせられるように。
PR