社会問題小説・評論板

Re: 死に方を知らない君へ。  ( No.101 )
日時: 2014/02/09 19:15
名前: 杏香 ◆A0T.QzpsRU (ID: HmBv7EUE)

第二章「花言葉の約束」

 寒さに身を縮めて歩く私を笑うように、また雪が降り始めた。吐いた息が白く染まり、その度に私は生きているのだという事を実感する。
 一人で歩く帰り道はもう慣れてしまったけれど、ふとした折に孤独を感じる事もあった。
 こんな時、傍に誰かが居て話を聞いてくれたら……なんて思ってしまうのだ。
 だけど今の私に、そんな話は夢物語。現実逃避なんかしても、何も変わらない。
……でも、考えたくない事だってある。
 今までだって今日だって、世界はとても酷いから。

 目の前で信号が青に変わり、私は横断歩道を歩き始める。
 その時足元には十分気を付けていたはず、だった。
 それなのに、気づけば私は雪道に足を取られて転んでいた。それも、横断歩道の真ん中で。
 一瞬何が起きたのか分からなくなって、私の頭は混乱する。
 とっさに立ち上がったものの、転んだ時に手をついたせいで手の皮が剥けてしまっていた。