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社会問題小説・評論板
- Re: 死に方を知らない君へ。 【修正しました】 ( No.23 )
- 日時: 2014/02/05 21:22
- 名前: 杏香 ◆A0T.QzpsRU (ID: HmBv7EUE)
部屋の隅にあるベッドの上で、私は1人考え込んでいた。考えていたのは昔のお母さんと私、それからお父さんの事。
私は今でも、はっきりと覚えている。
優しかった頃のお母さんと、無邪気な私、心配性のお父さん。3人で作り上げてきた日常が、とても幸せだったことを。
——でもその幸せが、長く続くことは無かった。
今この家に、お父さんは居ない。
それはお母さんとお父さんが離婚して、私がお母さんに引き取られたからだ。
離婚した原因は……お父さんの浮気。思えばあの時から、家族は狂った。
家に響いていた笑い声は、いつしか夫婦喧嘩の怒鳴り声に変わり。毎日のようにお父さんは怒鳴り、お母さんは泣き崩れて。
私はそんな光景に怯えながら、布団の中で耳を塞ぐことしか出来なかった。
……そんな日々が、何日も続いて。ようやく、家の中から怒鳴り声が消えた時。
お母さんは、もう既に歪んでいた——。
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