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社会問題小説・評論板
- Re: 死に方を知らない君へ。 ( No.33 )
- 日時: 2014/03/08 21:17
- 名前: 杏香 ◆A0T.QzpsRU (ID: HmBv7EUE)
約束通り私は夕食抜きの罰を受けて、反省している事を示すためにリビングで勉強していた。
漂ってくるのは、カレーの美味しそうな香り。お腹が空いて仕方なかったが、これは"罰"なのだ。
どんなに手が疲れても、休む事は決して許されない。よそ見だってダメだ。
少しでも賑やかなテレビに目が行ってしまえば、その時点でゲームオーバー。すぐに容赦ない暴力が、私を痛めつけるだろう。
口でそうだと言われなくても、私はその事を経験から知っていた。
だから……今回こそは、選択肢を間違わないようにしなければならない。
自分を守る為に。そして、お母さんの為にも。
幸いお母さんに再び殴られる事はなく、夜を迎える事が出来た。
とは言っても……言葉や態度では、何度も怒りをぶつけられた。
その1つ1つを思い出すだけで、胸が痛くなる。
お母さんはきっと、私の事なんて大嫌いなのだろう。決して口には出さないけれど、私には分かる。
お母さんは心の中で、こう思っているのだ。
あんな子供、生まれて来ない方が良かった。消えてしまえばいいのに、って——。
考えるだけで悲しかった。でも……仕方ないよね。
私はゴミみたいに価値のない存在で、ゴミだけど簡単には捨てられない厄介者だから。
ひとり、心の中で呟いた。
死ねなくてごめんなさい、と。
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