社会問題小説・評論板

Re: 死に方を知らない君へ。  ( No.35 )
日時: 2014/02/06 20:42
名前: 杏香 ◆A0T.QzpsRU (ID: HmBv7EUE)

 今までに朝食をわざとぶちまけられたりする事はあったが、こんな事は初めてだ。
 私が驚きのあまり固まっていると、突如お母さんが声を荒げた。
「なによ、何か文句があるっていうの!?」
 お母さんの方を見なくても、その目が私を睨んでいる事くらい分かる。
 私はとっさに謝った。思わず声が少し震える。
「ごめんなさい! 何も文句なんて無いです!」
「ああそう。言っておくけど、温めるなんて事はするんじゃないわよ! これはあんたに対する罰なんだから……!」
 お母さんの冷たい声が、私の頭の中で反響する。

 これは"罰"……そう、私に対する罰なのだ。私はそう自分に言い聞かせて、すぐさま返事をした。
「……分かりました」
 そして、私はまたカレーライスを食べ始める。
 相変わらずカレーライスは冷たかったが、私にはどうする事もできない。今の私にできるのは、このカレーライスを食べきる事だけ。
……私はカレーライスを、次々と口に運んでいく。
 味なんて、何もしないような気がした。