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社会問題小説・評論板
- Re: 死に方を知らない君へ。 ( No.39 )
- 日時: 2014/02/06 20:57
- 名前: 杏香 ◆A0T.QzpsRU (ID: HmBv7EUE)
誰も居ない廊下は当然だけどとても静かで、まるでこの世界に私しか居ないみたいだった。
そう思ったら突然不安になり、私は思わず立ち止まる。
帰りたくない——でも、帰らなくはいけない。
私は手が震えるのを感じたけれど、また歩き始めた。
学校の、玄関の方へ。私には、あの家以外に帰る場所がないから——。
学校の玄関の扉を震える手で押して、私は外に出た。
外はとても、広かった。
何処かに寄って行きたい気持ちもあったけれど、帰りが遅くなればまたお母さんに怒られてしまう。
仕方がないと思い私は俯きながら、重い足取りで家に向かって歩いていく。
なぜだか分からないけれど、家までの道がとても近く見えた。でも、本当は遠い。私はそう思っていた。
いつだって、家までの道は遠いからって。
でも、本当は——遠くも、近くもなかったかもしれない。
だって家に帰ればまた、同じ事の繰り返しなのだから。
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