社会問題小説・評論板

Re: 死に方を知らない君へ。  ( No.80 )
日時: 2014/02/06 22:18
名前: 杏香 ◆A0T.QzpsRU (ID: HmBv7EUE)

 その気持ちを想像するだけで、私の胸は酷く痛む。……理不尽に暴力を振るわれる気持ちは、私もよく知っているからだ。
 悲しみや怒り、憎しみや絶望。こうした負の感情だけが心の中に蓄積されていき、少しずつ自分が壊れていく。
 殴られるのは、私が役立たずで使えない存在だから。
 その事は痛い程に分かっているはずなのに……私はやっぱり、それを素直に受け止める事が出来なくて。
 だから私は、いつまで経っても変われないのかもしれない。
——そんな事を思っていると、さっきまでの楽しい気持ちはとっくに消え失せてしまった。
 私は沈んだ気持ちのまま、あまり手をつけていなかったおにぎりを頬張る。
 するとその時、私の目の前に空になったコンビニ弁当が突き出された。その差出人は、もちろんお母さん。お母さんは何も言わなかったけれど、これは"片付けろ"という暗黙の命令だ。
 正直言って面倒だったけれど、断れば何をされるか分からない。
 私は急いでおにぎりを食べ終えると、おにぎりとコンビニ弁当のゴミをまとめて1つにし、台所へと向かった。