PR
社会問題小説・評論板
- Re: 死に方を知らない君へ。 ( No.85 )
- 日時: 2014/02/06 22:20
- 名前: 杏香 ◆A0T.QzpsRU (ID: HmBv7EUE)
……ところがその途中で、呆気なく道は閉ざされた。それは、丁度お母さんの横を通り過ぎた時の事。
突然強い力で手首が掴まれ、前に進む事すらも出来なくなった。
私は驚き、恐る恐る振り返る。するとそこには、鬼の様な形相をしたお母さんが居た。
その目は、間違いなく私だけを睨みつけている。
——怯える暇もなく、次の瞬間には平手打ちが飛んできた。
何故、怒られているのか。それすらも分からず、呆然と立ちすくむ私に容赦なく怒声が降りかかる。
「何とか言ったらどうなの!」
鼓膜が破れそうな程の声と、恐ろしい剣幕。
私は心臓を掴まれたような気持ちになりながらも、ようやく謝る事を思い出した。
「ごめんなさい……ごめんなさい……っ!」
さっき叩かれたばかりの頬が、今頃になってじんじんと痛む。
その痛みが広がっていくのを感じながら、私はお母さんに許しを請う。
これで許してもらえるなら、どんなに良いだろうか。
PR