社会問題小説・評論板
- Re: どうもこんにちは『 』です。 ( No.28 )
- 日時: 2011/11/09 18:45
- 名前: 揶揄菟唖 (ID: hoeZ6M68)
- プロフ: http://www.kaki-kaki.com/bbs_test/view.html?517203
第九声「どうもこんにちは『動き』です。」
いたい。
くるしい。
つらい。
つめたい。
・・・あたたかい。
瞼を下ろしていくと同時に私の人生も終わっていく。
そんな私の耳にはキミの叫び声がずっと響いていた。
+ + + +
「彪……ちゃん」
顔を上げるとそこには体操服を身にまとった彪ちゃんがたっていた。
その目は死んでいて、まるで最初にあったときみたいだった。
私が転校してきてはじめて目が合った時もこんな目をしていた。
こわかった。
からっぽのそのめが。
だからあまり関わろうとしてこなかったのに。
なぜ?
なぜ、今?
なぜ、私?
「……かえして」
なにを、そうきくまえに私の首は彼女の掌に包まれていた。
「かっ……っは」
息を吐き出せない、すえない。
当然だ、首を絞められているんだから。
「かえしてかえしてかえしてかえしてっかえしてっ」
彼女は何を返してほしいんだろう。
妙に冷静になりながらそんなことを思う。
なんで、こんなに冷静なのか。
それは私が生きていないからだ。
痛みを感じない。
生きていないなら死ぬなんてこと怖くない。
「かえして」
そういう彼女の目からは涙が零れだしていた。
+ + + +
彌魅が壊れている。
そう告げてからしばらくすると彼は彌魅ちゃんを追いかけていった。
空き教室に身を潜めていた私は彼が離れていったことを確認して廊下へ出た。
「よっ!この間の!」
壁に背中を預けていた私に声をかけてきたのは肩より少し長いくせっけをもった三年の壕内葵苛だった。
「…どうも」
ぺこりと頭を下げる私に葵苛はにこにことしながらちかよってくる。
余談だが、私は葵苛が苛められていることをしっている。
そしてその理由も。
「ねぇねぇ、とーくんおぼえてた?」
「いいえ」
おぼえていなかった。
私のことも『彼女』のことも葵苛のことも全部全部。
彼は………………とーくんは何も。
「…そっかぁ、じゃあいつおしえてあげよっか?」
おぼえていないとしって少しショックをうけているようだが葵苛はいつでも明るく振舞おうとしているらしくすぐに話題を切り替える。
「………」
私は黙っていた。
おしえるべきか?
私との関係を。
昔あったことを。
『彼女』のことを。
葵苛のことを。
………彪のことを。
いや、正確にはとーくんは忘れていない。
わすれようとしている、がただしいか。
とーくんはそこにある記憶に蓋をしている。
でもとーくんはそれがいけないことだと心のどこかで自覚している。
とーくん自身はそれはトラウマだから思い出したくない。
だけど蓋をしておくのはいけないと記憶が揺れる。
だからとーくんは精神が不安定なんだ。
私を見たら吐き気がする。
嫌な記憶がりんぺんを見せるから。
とーくんが嫌な思いをするのは嫌だ。
だって私は今でも。
〜end〜
九話目ですね!
一回小説を書いていたときにまちがえて全部消しちゃったのでしばらく挫折してました。
前回のほうが良かったです。
さてそろそろ終盤です。
『彼女』とはだれなのか。
彪の目的は一体。
僕は記憶を乗り越えられるか。
全部解決できるでしょうか。
頑張ります。