社会問題小説・評論板

Re: どうもこんにちは『 』です。 ( No.33 )
日時: 2012/01/22 18:13
名前: 揶揄菟唖 ◆bTJCy2BVLc (ID: WPJCncTm)



第十四声「どうもこんにちは『赤』です。」


全部全部嫌い。
許せない。

この世界はあたしの思い通りにちっともなってくれない。
おかしいね。
おかしいんだよ。
だってあたしが一番最初に彼のことを好きになったんだよ。
誰の物でもない彼を一番最初にあたしが手に入れたの。
そこに間違いはない。
筈なのにさ。
あたしじゃない子に笑いかける彼のことだって嫌いになっちゃいそうなほどあたしの中には憎しみしかなくなっちゃった。
本当に好きなの。
あたしの全ては貴方なの。
貴方しか要らない。
あたししか欲さないで。
あたしの願いはいつだって叶わない。
どうすればいいのか分からなくなってあたしは何をしたんだっけ?

そうだ、思い出した。
全部全部壊そうと思った。
全部壊せば、全部彼の前から消せば彼の目にあたししか入らなかったらあたしの願いは叶うでしょ?
ここにも間違いはない。

だからあたしは何の疑問も抱かずにそれを決行した。
彼にベタベタする気持ちが悪い『アイツ』を刺した。
彼は悲しそうな顔をして泣いていたけれど仕方ないんだよって抱きしめてあげた。

ねぇねぇ、あたしを見て。
あたししかいないから。

そしたら今度は。
上手く行っていたのにそれを壊す奴が現れた。
気持ち悪いキモチワルイ。
あたしの彼に触れないで。

しょうがないな。
お前も『アイツ』みたいになりたいんだ?
そうでしょ?
だってあたしの彼に触るんだもん。
しょうがないことなんだよ。
あたしは彼が居ればいいから。
お前なんて、世界なんて要らない。
だからあたしはまた同じ事を繰り返した。
しばらく平穏が続くと思っていた。
幸せになる筈だった。

彼はあたしを見てくれるようになった。
あたしだけに笑うようになった。
彼の中はあたしでいっぱいになった。
なのにあたしは満足できなかった。

おかしいな、なんて。
あたしは首を傾げることなんてしなかった。

だって分かっているから。
この心に空いた穴が何なのか、あたしは知っている。

後悔。

そう。
あたしはきっと後悔してる。

嘘、なんだ。

ホントは好きだった。

彼と同じくらい『アイツ』もあいつも。
みんなで居るのが楽しくて、シアワセだった。

あたしは何て事をしちゃったんだ。
あたしが悪い。
あたしはみんなの幸せを、自分自身のシアワセを奪った。

本当に、バカ。

だからきっと彌魅ちゃんの首を絞めているあたしは泣いているんだ。

あとでまたあたしはこのことを後悔するの。
あたしの人生はそれの繰り返し。


〜end〜


十四話目です。
今回はようやく彪ちゃん目線。
疑問は解けているのでしょうか。
私はまったくわからないです。
多分次回最終回。