社会問題小説・評論板
- Re: 私が存在する理由 ( No.28 )
- 日時: 2011/12/14 19:15
- 名前: 不登校少女I. (ID: b1TZiT7s)
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「でもあの日はホッントォ、ビックリしちゃったなぁ」
とある日の昼休み。
「っ!?」
振り返り、平井さんの方を少し向く。
「えー?何何?何の話ぃ?」
まだ周りの子たちには話してないみたい。
ホッとして、また自分の机に向きなおった直後—
「お父さんがさぁ…雪
「やっ!!!…何言っ…て」
何で…そんなこと……。
勢いで立ち上がってしまったせいで、
周りの視線が私一点に集まる。
「はぁ?何言ってんの雪帆。
"雪の日に"って言おうとしたんだけどぉ?…」
「お前ほんと鬱陶しいわぁ…」
平井さんをしたっている子たちが私の机の周りを取り囲む。
「雪帆ちゃーん」
近寄ってくる平井さん。
そっと私に顔を近づけると。
「まじうざいわ。"しね"よ…」
そう言って取り巻き達と廊下に出て行った。
「……」
脅えて震えている私を、
みんなは哀れな視線で見たり、クスクス笑ったり。
そう、決して誰も助けてくれない。
ただ1人を除いては—
「ちょっと、あんた…こっち来なさい」
ビックリして振り返ると、
篠崎さんが怒った様子で私の肩を掴んでいる。
「篠…崎さ…」
「いいから来てっ」
周りの視線が、再度私に集中する。
そして少数の人たちが篠崎さんを見る中、
戸惑う事もせず、篠崎さんは堂々とした顔で、
私を連れて廊下に出ていく。
「あんたね、ホント…そんなんじゃ受験まともに受けられないでしょ!
大体、あんな奴らにそんなことされっぱなしでいいの?
いやでしょ。あのさ、私ね…あんたのその頼りなさっていうの?
なんか弱弱しさがさ、超気にいらない!!気に食わない!!
直して!今ここで!私の目の前で!」
そして、廊下の左側を左手の人差し指で指す。
その先には、わらわらと溜まっている平井さんの姿があった。
「ぇ…ムリ…です…。だって…」
「そこだよ!そこがイヤ!何回言えば分かるの!」
「でも—「いい!私が呼んでくるから!」
「ちょっとま…「ちょっと平井達!こっちに来なさい!」
廊下で叫ぶと、長細い道の先まで響いて反響する。
どうやら聞こえたのか、
取り巻きと平井さんたちが一斉にこちらを向く。
と同時に、関係のない人たちも振り向く。
が、興味がないのか、すぐに自分たちの会話や行動に戻った。
「あんだよ?なんか用あんのか?」
楽しく話していた会話が中断させられ、
不機嫌そうに顔を歪めてこちらの方まで近寄って来る平井さんたち。
「あ、雪帆じゃん。何?篠崎、仲いいの?」
「そうよ。でも今はそんな話じゃないんだってば」
「へ〜…あっそう。ま、いーや。そういえば雪帆」
いきなり話を私に向けられ、ビクリと肩をあげる私。
「雪帆、ほしいバッグがあるんだけど。
でも今金欠でさぁ…貸してくんない?」
「っえ……っでも…今朝も…貸した…し」
「あぁ?!うっっせえな!とっとと貸せばいーんだよ!」
「っ…でも…本当に私もお金が…なくて…」
「……へ〜え…あんなことしてるのにぃ?」
ニヤリと口角を上げて、いやな笑みを私に向ける平井さん。
「まぁいいや。じゃ、金がないならさぁ、…………
"万引き"すればいいんだよ」
「っ!!」
平井さんの顔を見る。
すると、彼女は口パクで
" ば ら さ れ た く な い な ら 、
ま ん び き し ろ 。 "
と言って、私を脅してきた。
「じゃあ今日放課後、駅前集合」
「ぇ…あ…」
喉元に詰まる言葉。
どうして出てくれないの…。
「何か文句あんの?」
「…ない…です…」
情けない。
「じゃっね〜雪帆ちゃーん♪」
楽しそうに去っていく平井さん。
その後ろを付いていく取り巻き達。
壁にもたれ込み、
ヘナヘナと力を失った足は私を支え切れずにダウンしてしまう。
あたりをキョロキョロと見まわす。
けれど、言い出しっぺの篠崎さんの姿はどこにもなかった。
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