社会問題小説・評論板

Re: 私が存在する理由 ( No.58 )
日時: 2011/12/31 16:36
名前: 不登校少女I. (ID: b1TZiT7s)




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「落としてもいいよ満里奈。
でも…今まで思ってたこと…全部言わして。
言ってから死にたい。
このまま何も伝えずに死ぬなんてイヤだから」

「何。負け犬の遠吠えみたいな感じ?」
「違う。私が今まで満里奈を見ていた素直な気持ち」
「あっそう。言えば?別にウチはそんなの気にしない」
「じゃあ言う。








満里奈、私さ、満里奈のこと憧れてた。
可愛いし、いつも自然な笑顔で、
絶対周りに人が集まってくるタイプの子だった。
でもそれに対して私は地味で至って普通なヤツで、
何か取り柄がある訳でもなければ
特別運動神経とか頭がいいわけでもない。


それでも"ずっと一緒にいる"って約束してくれたとき、
めちゃくちゃ…。
ううん、死ぬほどうれしかった。
死ぬほどはいいすぎかもしれないけど、本っ当うれしかった。


友達だって言ってくれたのもうれしかった。
もともと親同士が仲良かったっていうのもあるけど、
私は、心の底から満里奈をしたってた。


でも今は違うみたいだね」


「ウチにとって遥は遊びでしかなかったんだよ。
それだけのことじゃん。まだ何かある?」
「ある。いっぱいあるよ。


本当に、


もうあの頃には…


戻れないの…?」


「…………」
「満里奈…」

「うるっさいなぁ!もうあの頃には戻りたくない!!
お前みたいな地味といたって、全然おもしろくない!
しかもずっと昔からいじめられてばっか。
何でウチが助けなきゃいけなかったんだよ!?」

「満里奈!昔、満里奈はみんなにいい影響を与えたんだよ!
今の友達にもその昔の満里奈で接して!その子たちは、友達なんじゃないの?」

「ぷっはは。
友達?何それぇ?あいつらも、親も担任も、"お前"も…
全部私を引きたてる"材料"でしかないんだよ!!」


……そう。そういうこと。
やっぱりもうムリみたいだね。


「ま、満里奈…アタシらのことも…"遊び"だったの?
ねぇ、ちょっと!」
「うっさい!部外者はすっこんでなよ」
「なっ…何それ!…っ」


満里奈。
もう昔には戻れない。
そう分かった時点で、


「最後にアンタたちには手伝ってもらわないといけないの。
遥を落とさないといけないから」
「…いやよ。アタシらは手伝わない。手伝いたくない!」
「じゃあ今までのこと全部バラす!!それでも?」
「っ………それは………」


すでに終わり。


「嘘つき」
生きてても意味なかった。
私は、満里奈ともう一度仲良しに戻りたかった。
それができないなら私は、死んだ方がいい。

満里奈は怒りに満ちた顔で私を付き落とした。

体が宙を舞う。
その時間が異様に長く感じたのはきっと気のせい。

私の体は水に投げ出され、ゆっくりと沈んでいく。


「全部アンタたちが悪いんだよ!
ウチは昔、こんなじゃなかった!
アンタらがウチを影響したんじゃない!?」
「人のせいにしないでよ!
遥をいじめるって言ったのは満里奈じゃん!」
「そうだよ!でも—」

みんなの声が遠くに聞こえる。


私は、死ぬんだ。


満里奈とは、もうあの頃に戻れないから。


それだけで。





私は…





死ぬの?
死にたいの?


本当は—…




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