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　episode　　音原霞　


　次の朝。
　今日もこのクラスがそろう事は無い。


「椎名さんはお休みね……。ところで、千原さんと古川君はまた保健室？」
「先生、そうですよ」


　担任の呟きに、返事をするのは四之宮。こんなの、いつも通りだ。
　隣の席の男子が、咳き込んでいる、通路を挟んだ先にいる男子と話している。


「光。椎名、まだ……」
「……四之宮さんの、せいだよ。あの子も一年の時に虐められたから……雄大、あの人多分来れないよ」

　そう、椎名杏子という人は四之宮のせいで学校に来ていないらしい。
　不登校者とは、彼女の事だった。

　他人がどうなっても構わない私には、どうでもいい事だが。

「あ、そうそう。皆、文化祭だから合唱曲とか展示係を明日決めます。だから考えておいてね！」

　そして虐めを知らない担任は、こんな事を堂々と言う。
　虐めが発生しているこのクラスが、合唱でいい賞を取れると思うか？
　まぁ知ってても黙認をするだろう。

　ニュースみたいに、教師など黙認をしているのだから。
　教師だって、人だって、他人事には巻き込まれたくないから。

　だから、虐めは多発する。それを良い事に、四之宮達の様な人間は過激な虐めをする。
　
　けれど、助ける人間なんて居ない。
　助けたら、次は自分なのだから。