社会問題小説・評論板

Re: Re:愛してる ( No.110 )
日時: 2013/01/09 18:54
名前: おかゆ (ID: UjH259gp)


Another...


昔のお話。

昔といっても彼にとっては昔ではないし、実際そこまで昔の話でもない。

だけどふと、時々ずいぶん昔のように感じて、
最近のようにも感じて。

そんな、不思議なお話し。

彼には親友がいた。

だけど親友は交通事故で死んでしまった。


彼はその親友を一度拒絶してしまった。

謝れもしないで逝ってしまった親友。彼はひどく後悔した。


そんな彼はとあるサイトを見つけた。


それはチャットのようなもの。

顔も名前も知らない人たちがいろんな話しをして、楽しく過ごす場所。
なぜだか彼は惹かれていきサイトに登録した。



「名前・・か」

チャットをする際の名前。


「・・・・・・、」


忘れられない。

俺は最低なことをしてしまった。


忘れることなんて絶対にないけれど、


せめて、いつもの自分自身にけじめをつけるため。






彼の親友——・・『しゅう』を文字って『ゆーし』と登録した。





「しゅうでゆーし・・なんか無理やりだな・・」


そう一人で笑いながら——。





彼がチャットをしていく中でいろんな人に出会った。
その中で特に仲良くなった二人がいた。





『心』と名乗る男性と『ひまわり』と名乗る女性。


なぜかとても落ち着き楽しかった。

自分でいられるような気がした。



そしてある日一人の『少女』と出会う。


彼女は自分の殻に閉じこもり、人を怖がり、信用しないくせに人一倍、人間に興味を持っている。
時々別の人格が入れ替わり、泣き、怒り、笑い。


だんだんいろんな表情が見えてくるのがうれしくて。

もっと仲良くなりたいと思った。



こうしてどんどん傷は癒えていき、居場所と呼べるところもできた。






そして今日も彼はその『居場所』へと足を運ぶ。

はじめは拒絶していた彼女も今は何も言わなくなった。




「お、市川じゃん」
「何その言い方」




少しは仲良くなれただろうか。




「いや、まさかいるとは思わなかったし?」
「私は学校が終わったらいつもいるじゃん。ほかに行くとこないし。今さら?」


笑いながら聞いてくる少女。


「まぁそうだな」

そして彼も笑う。



彼が少女に友情じゃない気持ちを抱くのは果たして———・・