社会問題小説・評論板

Re: Re:愛してる ( No.111 )
日時: 2013/01/10 22:02
名前: おかゆ (ID: m.v883sb)



俺はこのままこの場所に、いても良いんだろうか。



*     *     *     *


「もうじき夏だなー」
「もう夏でいいと思う」

季節はもうじき夏。期末テストも無事終わり、あとは夏休みを待つだけだった。


「補習お疲れ」
「おー。お前は赤点なかったのかよ」
「ギリギリね」
「俺なんか世界史ギリ赤点だぜ?」
「何それ自慢?」


こんなやり取りが続く中、突然扉が開いた。



「おおーやってるか」
「本当に来たよ」

ここ最近顔を見なかった先生——北村蓮はにっこり笑った。


「俺も漫画持ってきた」
「本当に教師ですか?」
「教師である前に一人のアニヲタだからな!!」

ドヤ顔で言われたけどいまいちわけが分からなかった。


「漫研は?」
「あれはいーんだよあいつら俺いなくてもいろいろやってくし。つーか俺いないほうが・・なんかいいらしいし・・」
「いや私たちも先生いなくて大丈夫なんで」
「・・・・・・」

先生は無言で漫画を読みはじめた。


「俺的にはラノベとかも良かったんだけどさー、あ、小説ね。でもそれだとほら、お前ら現代っ子だからあんま読まなさそうだろ?」
「まずそういうのに縁がなかったんですけどね」
「おもしろいぞ?読んでみるか?」
「いえ結構です」
「・・・・・。俺的にはー」
「先生話し聞いてくださいね。現実逃避とか良くないですよ」
「ええやーん」


そういいながらケタケタと笑う先生に少し呆れながら私たちは課題を進めていた。



「・・・・・・・なんぞそれ」
「課題」
「なんで?」
「夏休みの課題です」
「ほぅ」
「先生読むだけなら帰ったらどうっすか?」
「いやお前らいつもだいたいそんな感じじゃねーの!?・・・まぁそれはおいといて。俺、何の教科担任だったか覚えてるか?」
「え、覚えてません」
「ひど!!・・・・・・・・化学や」
「「!!!?」」
「お前らが今やってる教科は?」
「「・・・・・化学」」




「わかんないとこ、教えてやってもいーけど」





にやりと笑う先生と同時に頭を下げる。



「「お願いします」」



「・・・・・・・えーよ」




無邪気な笑顔。






私達はこの人に踊らされたのだろうか。