社会問題小説・評論板

Re: Re:愛してる ( No.113 )
日時: 2013/02/03 23:47
名前: おかゆ (ID: fZAC/ZMy)



「——じゃぁこれで一学期が終わるわけだがお前ら羽目をはずし過ぎないように」

先生の話も終わり、終業式も無事に終わった。


「あーっこれから一ヶ月間皆にあえなくなるのかぁ・・寂しいなぁ〜」

耳につくような声で麗華が言った。

この言葉の意味はおそらく私に対して。

「皆絶対遊ぼうねーっ!!」

キャッキャと騒いでいるのをよそに私は教室を出た。


「まーじうぜー」




麗華の言葉が聞こえたがそんなのは無視だ。



*    *    *    *    *



「最近暑くなってきたなー」
「もう前から暑いよ・・てかあんた、世界史は大丈夫だったの?」
「ん?あぁ、一応大丈夫だった」
「そう」
「心配してくれた?」
「別に?聞いただけ」
「そっか」


そして伊藤は特に何かをすることはなくただ時間だけが過ぎていった。



「・・・課題やらなくていいの?」
「・・・あっ!!・・あぁ・・課題、そうだ、課題」
「・・・・・?」


なんだか今日の伊藤はおかしい。
いや、もともとおかしいやつだとは思ってたんだけどなんか今日は・・・


「伊藤・・なんかあった?」
「ぅえ!?はっ!?べっつに?なんも?」



なんかあったんだな。




「(わかりやすい奴)」



ここまで聞いてしまったらもう聞くしかないのか。
スルーしないで聞いてしまった自分のことをひどく後悔した。


「・・・・・なんでそんなにキョドってんの?」
「・・・・いや・・えっ・・と・・」
「私は聞かないほうが良い?」
「・・・・・・いや。むしろ、」




お前に話したいことがある。






伊藤が少し目線を下げて話しをした。


「・・・・・俺、ちょっと普通の人より演じることがうまいじゃん」

自分で言うのもなんだけどな、と軽く笑った。


「まぁ・・それなりに演技するのは楽しかったりしたわけよ」


『楽しかったりした』


過去形なのは今は楽しくないということなのだろうか。



そう考えながらも伊藤の話は進んでいく。


「俺さぁ、まぁ、最初からそんな演技が上手だったってわけじゃねぇの、これは俺の親友がいろいろ教えてくれたんだよな」


その話しで解ったことは。



伊藤には演劇部に入っていた親友がいたこと。
その親友の演技の練習に付き合ってたらいつの間にか自分もうまくなっていたこと。
その親友がある日いじめられたこと。
やがて自分もその親友のことが鬱陶しく感じ、見捨ててしまったこと。
そしてその親友は——・・





「事故でな、死んだんだ」






親友の、あっけない最期。



伊藤はやっぱり軽く笑いながら話した。




——目は、笑っていなかった。