社会問題小説・評論板

Re: Re:愛してる ( No.116 )
日時: 2013/03/02 21:22
名前: おかゆ (ID: 3/dSGefI)



「あーーーーーーー・・っつ・・・」

思わずこぼした言葉も蝉の言葉でかき消されてしまった。


墓がたくさんある。墓地だから当たり前か。

なんて当たり前のことを思いながら俺は愁の墓を探した。

暑さのせいかあまり頭が回らないような気がする。


「ヤバイ・・お茶・・」

持ってきたお茶を飲みながら愁の墓まで来た。

「はぁ・・」

予想以上に墓が多かったせいで探すのに時間がかかった。
そもそも本当にここに愁の墓があったということ自体半分驚いてる。

俺の友達が愁のお母さんが言っていたという噂を思い出してほぼ手探り状態でここまできた。奇跡といってもいいんじゃないか。

「(・・でも、墓の場所くらい愁のお母さんに聞いておくべきだったか)」

と、考えたところでやめた。


どんな顔してあえばいいんだ。

「(気まずすぎる)」


愁が死んでからろくに挨拶もせず、今の今まで墓参りすら行かなかったんだ。

正直、もしかしたら一生いかないかもって思った。

でも、市川のあんな姿見たら。


「(・・俺だけ逃げるなんてできねーだろ・・)」

そしてここまで来てあることに気付いた。

「・・・・・なんももってきてねぇ・・」

線香どころか花すら持ってきてない。

「・・・・・っあー、」

しょうがない。お参りだけして帰ろうか。

目を閉じて、手をあわせる。

「———、」


ゆっくりと、愁との思い出がよみがえってきた。

あんなこともあった、


こんなこともあった、



あぁ、そんなこともあったなぁ・・・


愁、




隣に、いない。




一緒に笑って、一緒に帰って、一緒に演劇をして。


そんな親友は、もういなかった。





本当に——?


彼は、まだ自分のことを『親友』と思ってくれている——?


自分のことを裏切ったやつを親友なんて呼べるのか・・?



あぁ、本当にいろんなことを思い出すなぁ。



まるでまだ愁は生きているみたいだ。


昨日のことのように思い出す。








「—————っ・・」





そう、

















事故前の、一方的に縁を切った、あの日に戻ったかのように。