社会問題小説・評論板
- Re: Re:愛してる ( No.120 )
- 日時: 2013/03/31 22:03
- 名前: おかゆ (ID: qyjkJIJL)
あーあ、
かっこいいとこ、もってかれちゃったか・・
いっつも女々しかったお前が、
今は最高にかっこよく見えて。
♪ー♪ー♪ー♪ー・・
電話が鳴った。
『・・あっ、伊藤?』
懐かしいような聞きなれた声。
「市川か。どうした?」
『いや、なんか、今日大丈夫かなって思って・・』
「・・・心配した?」
『別に違っ・・・・って何笑ってんの!!』
——・・よかった
「いや、珍しく・・・なぁ?」
『なぁ?じゃないよ!!・・今どこ?』
——・・愁と演劇をやっていて。
「今?愁んとこ」
感情を抑えることができるし。
「お前はどこなんだよ」
感情を隠すこともできるようになったから。
『えっ・・・い、え・・だけど』
市川みたいなヘマはしない。
「どうした?」
すごい心配そうな声出してさ。もっと隠せっての。
『あのさ、伊藤・・』
『泣いてる?』
———・・、
「・・・・・えっ?」
気付いた。頬に触れた。目から伝う“何か”
それが自分の涙だと知るのに時間はかからなかった。
『伊藤、声・・泣いているように聞こえる・・・』
元気ない、と付け足す市川。
「・・・・・俺は元気だけど」
『そういうことじゃなくてっ・・』
「とにかく!!俺は大丈夫だから!!」
『えっいと、』
「もう携帯の電池切れそうだからきるわ!!」
『・・・っ』
「じゃぁっ!!」
ピッと機械音が響いた。
「・・・・・・・なんだろうな」
せめて、泣くのはここを出てからにしようと思っていたのに。
こんな姿、愁には見せられないから。
「俺もまだまだ演技が下手だなー・・」
墓地を出て振り返る。
「愁・・・・・」
『ごめん』
「・・・・・もう遊べねぇじゃんっ・・死んだらっ・・もう・・・・・」
ずりーよ。
お前だけ謝って俺、謝ってねぇじゃん。
「・・敵わねぇなー・・」
愁は死んだ。
死んだら人はどこに行くんだろうとかそんなこと考えたことなかった。だって、
——愁がまだ俺のそばにいる気がするから。
「愁っ・・・」
本当は俺だって謝りたかった。
でも墓の前に立つときっと、泣いてしまいそうで怖かった。
「—————・・ごめんっ・・」
その場にしゃがみこむ。
かっこわるいなーとか思いながらも“それ”はとめどなくあふれてきてもはや止めることは不可能だった。
「俺もまだまだ・・お前がいないとダメだわ」
市川が気付くのも無理ない。
「———・・、」
(電話越しでよかったよ)