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社会問題小説・評論板
- Re: Re:愛してる ( No.37 )
- 日時: 2012/03/19 17:51
- 名前: おかゆ (ID: Rxx2J2WJ)
「今日もお疲れ」
「・・・・、」
資料室の机でふせていると突然扉のあく音がし、伊藤が入ってきた。
「・・いちいち言わなくていいよ。そんなの」
「そうか?」
「実際今日は軽かった」
「嫌がらせが?」
「そう」
そして伊藤は近くにあった漫画を手にとって読んだ。
「・・・お前、こんなのも読むの?」
「・・あぁ、それ」
伊藤が手にしたのは以前麗華達にいいよと進められてしぶしぶ買ったベタな恋愛漫画だった。
たいして面白くなく、麗華達はこういうのがいいのかとさほど興味もない状態で資料室に置きっぱなしにしていた。
「・・うわ、記憶喪失とか・・」
「ベタでしょ?そのあと主人公のキスで記憶喪失が戻るの」
「は?マジか・・ありえねー」
そういってまたペラペラと読み進めていた。
「『ごめん・・俺、記憶を失って・・すごくお前を傷つけた・・』」
「・・・・!?・・うまいじゃん・・」
伊藤の演技が物凄くうまかった。
「『記憶を失ってたとはいえ・・お前は俺を見捨てずに助けてくれた・・もう一度言う、俺・・お前のことが好きだ・・っ!!』」
「・・・すごい、」
ありきたりな台詞も誰かが感情をこめて言うとここまで違うのかと感動。
「何?中学の頃とか演劇やってたの?」
「んー?・・あー・・まぁ俺の友達がさ、こういうの好きでよく付き合わされてたんだよ。そしたら・・・まぁ・・こんな風にちょっと出来るようになったんだけど」
まさかこんな所で使うとは。と笑いながらつぶやいた。
「にしてはノリノリだったけど」
「まぁ少し楽しかったし」
彼は綺麗に笑った。
そして、
「・・・・・でもまぁ、俺はその友達と縁を切っちゃったけど」
「はっ?」
彼は何かすごいことをしゃべった気がする。
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