社会問題小説・評論板

Re: Re:愛してる ( No.48 )
日時: 2012/04/17 22:56
名前: おかゆ (ID: c7fD2IHa)


伊藤 翔目線


『自分を殺してもいいかな』


その言葉を聞いた瞬間、頭が真っ白になった。
こいつは普段嘘でそんなことを言う人間じゃない。


「お前・・つまり、自殺・・ってこと?」

なんで、こんなことを聞いてしまったのだろう。
俺は心のどこかで『違う』と言って欲しかったんだ。

こういう嘘、俺は嫌いだけど—・・嘘であって欲しかった。


「・・・っ!?お前っ!!何やってんだよ!!」

俺が少し目を話すと市川は近くにあったはさみで自分の髪の毛を少しずつ切っていた。


「・・・・いと・・う・・私・・死にたい・・」


泣きすぎて目が真っ赤になってる市川。
普段とは違うその行動に俺は戸惑うばかりだった。


「殺してください」


手首にはうっすら切り傷。さっき切ったな・・?


「・・・理紗は、幸せなんかじゃなかったんだ・・高校になっても・・麗華から私のことでいつも脅されてたんだ・・いつも・・理紗はおびえて・・っ、」


そこで市川はまた口に手を当てた。


「・・・・理紗は・・・私のせいで・・」
「それは、」
「アンタに何がわかるのよ!!!!」
「っ!?」
市川の怒鳴り声が響いた。


「いちか、」
「うるさいっ!!だいたい私はっ・・私は嫌われてるんだ!!・・あそこで何を言っても皆麗華の肩を持つ・・そんな嫌われていじめられてる人間を助けたりして楽しいか!自分は優しい人間なんだと思いたいのか!!・・っそんなに・・皆に好かれたいのかっ・・・!!」


ここまでくるともう八つ当たりだ。
でも俺の感情は怒りではなく——・・





悲しみだった。


君は気づいているだろうか。
肩が震えている。
声が震えている。


どうしようもない感情に押しつぶされそうな、その体。



「お前に何がわかるんだ・・」


正直、お前の気持ちなんてわかんねーよ。
わかんない。だから、



「わかんないなら、分かるまで知ればいい」
「・・・、」
「市川っ!!!」



肩がビクッと震えた。



少し泣きそうな声をおさえて俺は叫ぶ。





「———・・俺と友達になろう!!」





きっと、大丈夫だから。