社会問題小説・評論板
- Re: Re:愛してる ( No.54 )
- 日時: 2012/04/27 22:53
- 名前: おかゆ (ID: 7TIhQdvp)
「翔・・・」
帰り道、久しぶりに陸上部の練習がなかった俺は一人で帰ろうとしたら愁に呼び止められた。
「久しぶりに一緒に帰ろうよ」
力なく笑った愁。
「・・・そうだな」
あのとき一瞬、嫌という気持ちがまざった。
* * *
「・・今回はどんな役やるんだ?」
「んー・・まぁ普通の男の子なんだけど」
友情ものなんだ
今度やる劇の内容を少し楽しそうに話した。
「見る?台本」
「あ・・じゃぁ」
愁から台本を受け取りぱらぱらとめくる。
「『俺はもうお前なしでは生きていけないんだ』」
「なんだよ急に」
「劇、劇。なんか顧問の先生がねー?こうゆうのにはまっちゃってさー」
「本当に友情ものなのか?」
「俺が今いったところは主人公の過去。彼女に対して言う台詞なんだけどそのあと彼女が病気で死んじゃうんだよ」
「うわー、ありがちだなー・・んで、台詞がクサくね?」
「まぁこれは全校生徒の前で発表しないから別にいいんじゃない?」
愁はまた軽く笑って俺に言った。
「俺もきっとお前がいなきゃダメだわ」
「・・・・なんだよ、急に」
「いや、なんかさ。思ったんだよ・・いつも翔に助けてもらってばかりだなーって」
「そんなこと・・」
「あるよ」
愁が珍しくきっぱりといった。
「あの時、助けてくれてありがとう」
「・・・・っ、」
『あの時』は聞かなくても分かった。
なんでだ?
愁からの『ありがとう』が聞きたかったはずなのに、
なんでこんな泣きたい気持ちになったんだ———・・?
「・・・そ、そういえば俺ら最近遊んでないよな」
「あ、そうだねー」
こんな気持ちが嫌になって話題を変えた。
「今度遊ぶか」
「・・いいね!卒業までには遊びたいね」
「そうだな」
「お菓子持ってこうよ!」
「子供かよ」
「いいねー、久しぶりだから!!すごく楽しみだ!」
今度は本当に楽しそうに、嬉しそうに笑った。
今思えば、
あれが俺の見た愁の最後の笑顔だったのかもしれない。