社会問題小説・評論板

Re: Re:愛してる ( No.58 )
日時: 2012/05/02 23:39
名前: おかゆ (ID: SDJp1hu/)



事故から数時間がたった。
暗い部屋。久しぶりに雨が降った。


「・・・・」

きっと今通夜だろうな。


目を閉じていても分かる。風景、音。

あぁ、愁のお母さんが泣いてる。
愁のお父さんだって、目に涙をためて泣くのを必死にこらえている。

まわりの親戚も皆。そういえば愁には小3の妹がいたな。

まだ現実がよく分かってないけど、周りの雰囲気で気づいたのか泣きそうになっているんだろうな。



全部、頭の中でできていく。



——・・俺も行けばよかったのかな。

でもどんな顔していけばいいのかわかんない。
ひどいこと言った。




俺は————・・、



「・・・・、」

俺は全体重をベッドに預けた。




 *   *   * 



「・・・・まぁ、小嶋のことは、その・・残念だが今は受験に集中して欲しい」


事故が起きてからの数週間後、先生との面談があった。


「・・でもその受験のせいで、俺らは—・・」
「それはお前のせいじゃない・・もちろん小嶋のせいでもない」
「・・・・」



「ひどいことを言うかもしれんが・・今はお前の行きたい高校を目指して勉強しなさい」





「・・・・・・・・はい」






これ以上、何も言うことができなかった。




 *   *   * 



「お前も大変だったな」
「親友が死んだのはつらいと思うけど・・何かあったら俺らにも言えよ?友達だしな」
「かわいそうに」
「親友を亡くした、」
「俺らが」
「何とかしないと、」








『助けないと』






・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



    「なぁ、知ってるか?俺、翔と同じ中学校だったんだけどさ」

                   「中学のとき、」

      「親友を事故で亡くして、」

  「かわいそうで—・・」
               「仲良くして—・・」

「助けてやろうぜ」
    
             




   『かわいそうだから仲良くしてやって』




いつしか噂は一人で歩き出した。



皆が俺を気遣うように、まるで割れ物に触れるように仲良くしてくれた。


偽りの友情。



いつしか本当の友達の接し方を忘れてしまった。





嗚呼、








すごく惨めな気分だ。