社会問題小説・評論板
- Re: Re:愛してる ( No.90 )
- 日時: 2012/09/28 22:37
- 名前: おかゆ (ID: 5O6eY17n)
ちょっと番外編・・?
『名前で呼んでみよう』
* * * *
「——・・と、言うわけだ」
「え?何が」
伊藤が満面の笑みで私に語りかける。
ことの始まりは数十分前にさかのぼるらしい。
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「ねぇ由美、これありがとー!」
「あぁ!!はいはい、どうだった?」
「すごくよかった!!また今度かしてー」
「いいよー!飛鳥もあれかしてよー」
休み時間中に女子たちが話していた内容。内容的には何かの貸し借りの様子だったけど、俺が気になったのはそういうことじゃなく。
「・・・・・なぁ」
「ん?何、伊藤」
「お前ら女子ってさ、仲良くなると名前で呼び合ったりすんだよなやっぱ」
そして二人が黙って顔を見合わせて。あれ、俺今そんな変なこと言った?
「・・・・何それ。逆に苗字で呼び合うってのがあんまないよねー」
そう笑いながら言ってまた二人で笑いあう。
「・・・・あのさ、仮に、仲良くなりたい子がいたとして、まだお互い苗字呼びってのは・・その、やっぱ進展とかあんまないよな・・・?」
そしてまた二人が黙った。
「・・・伊藤、好きな人できたの?」
「ばっ・・違うから。友達になりたいんだけど、そいつ自分の殻に閉じこもっちゃうってゆーか・・まぁ一種の人見知りみたいなもんなんだけど・・俺、そいつと仲良くなるためにはどうすればいい?」
そういうと飛鳥が軽く笑った。
「なんか伊藤って誰とでも仲良く話せちゃうイメージがあったのに不思議。てか実際誰とでも気軽に話せてるのにねー?珍しい」
「・・・・、」
確かに、そういうのは結構自覚していた。
誰とでも気軽に話せる自信はあった。
「・・・・・・それが裏目に出たのかもな」
「え?」
「うん、まぁいいや、なんでもない・・で、どうすればいいと思う?」
「交換ノートとかは?」
「「え?」」
「ほら、仲良くなるには交換ノート使ってさ、普段あまり言えないようなこととか、素直に言えたりするんじゃないかな」
交換ノートか。なるほど。
「あ、でも伊藤男子だもんなー」
「どういう意味だそれ」
「いや、なんか男子って交換ノートとかしなさそう・・てかしないよね?」
確かにそうだ。それに・・
「・・・・・あいつ絶対面倒くさいとかいいそう・・」
「じゃぁここはちょっと攻めてみたら?」
「ん?」
「名前でお互い呼び合ってみるってこと。それだけでもかなり仲は縮まると思うよ?」
「・・・・・そうか」
こうして女子二名から的確なアドバイスを貰い、俺はいざ、その『仲良くなりたい友達』の所へ向うのだった。