社会問題小説・評論板

Re: お嬢様に虐められて虐めましょう。【お礼小説】 ( No.109 )
日時: 2012/11/03 17:28
名前: 黒猫ミシェル (ID: jwtW4gOO)

一人にして欲しいと伝えようとした佳菜子は、桃子の勢いに息をのんだ。
悠然と微笑んでいたかと思えば、今度は目に涙を浮かべて手を握られた。
その手は夏だというのに、何故か冷たい。

「ああ、ご心配なさらないで!!」

「…?」

「大丈夫ですわ!!桃子には全て分かっていますもの!!お姉さま、ああっ桃子が大好きな薔薇の様に美しいお姉さま!!何てお可哀想!!あんな不細工の麗華に酷い事を言われて…。大丈夫ですわ、お姉さまは汚らわしくなんてありません!!桃子、お姉さま大好きですわっ!!それに麗華何て、たいして美しくもないですし、頭だってお馬鹿さん。それに比べてお姉さまは蝶のよう。気高く上品で誇り高い。桃子の理想の方…」

可憐な口から次々と留めなく流れ出る言葉。
それは、傷ついた佳菜子の心にすっと染み込んでいった。
私を褒めてくれる!!
麗華様よりも、美しいと!!気高いと!!
私が理想なんだと、この子は言ってくれる!!

「そうですわ!!麗華様何て、ただ家柄が良いだけですわ!!」

「いいえ、お姉さま。少し違いますわ」

「え?」

「お姉さまの方が、家柄がよろしいのよ」

私の方が…?
あの麗華さまの家柄より?
“あの”麗華様の、家柄より…そんなはず

「あるのですわ、お姉さま」

「っ」

一瞬、心を見透かされたのかと思った。
桃子目。
自分の醜い心、麗華への思いや殺意憎悪…全て、見透かされている。
そこまで思わせる、澄んだ瞳。

「ねぇ、お姉さま?良い事を教えてあげますわ。大好きな、お姉さまだけに」

「私に、だけ?」

「そうですわ。お姉さまに、だけ」

「私にだけ…」

それと同様、桃子の言葉は佳菜子のズタズタに切り裂かれた自尊心やプライドを、誇りをツギ直していく。
縫いあとなど残らせずに、綺麗に、丁寧に、慎重に。

「ここじゃなんですし、…場所をかえましょう?」

「…」

「桃子、お姉さまのお役に立ちたいのです!!」

「私の…役に?」

「そうですわ!!お友達も、取り巻きもいなくなってしまった、可愛そうなお姉さまの為に!!」

「えっ!?そっれは、どういう…」

「ね、場所をかえましょう?」

悲しげに眼を潤ませた桃子に、佳菜子はうなずいた。
ただ、桃子を信頼して。