社会問題小説・評論板

Re: お嬢様に虐められて虐めましょう。【お礼小説】 ( No.127 )
日時: 2012/12/22 19:10
名前: 黒猫ミシェル (ID: YzSzOpCz)

「パパ」

「何だい?」

小さな体にあったメイド服を身に付けて、麻衣はお辞儀の格好をしていた。
非常にきつい体制で、頑張って声を出す。
目の前には、執事服をピシリと着こなした麻衣の父、石原歳三が座っていた。

「あのね…」

今は麻衣のメイドになる為の教育をしている真っ最中。
石原は麻衣の父であり先生だった。
そんな石原へ、麻衣は今日知ったばかりの言葉を使う。

「まいもがっこうへいきたい!!」

「麻衣には必要ないんだよ」

「だって、れいかだって、いってるもんっ!!」

「麻衣っ!!」

いつもは穏和な顔をしている石原が、麻衣の肩を思い切り掴む。
その大人の力に、麻衣は顔を歪ませる。
しかし、石原は気にしなかった。

「お嬢様のことは、呼び捨てにしてはいけないと言っているだろう!?」

「な、なん、で?だって、れいかがいいっていったもん…」

父の剣幕に怯みながらも、反抗を試みる。
そんな麻衣の頬が、瞬間赤く腫れた。

「良いか、麻衣。良く聞きなさい」

「ヤダ…」

「麻衣!!」

「だって、だってパパ、まいのことぶった…」

今にも泣き出しそうな娘をみて、石原は溜息をついた。

「何回も言っているけど。麗華様はね、とても偉い方なんだ」

「まいのおともだち…」

「友達じゃない。お嬢様なんだよ」

「いやっ!!」

(なんでどうして!?なんでパパはあんなこというの!!?)

ハラハラと涙を流す麻衣。
石原はあえて冷たくしゃべった。

「麻衣、そろそろお嬢様をお迎えする時刻だ」

「うぇえっー」

「今日はお前がお迎えしなさい。私が車で校門まで送るから」

「ひっびぇぇっ」

「その格好で、『お嬢様お迎えにあがりました。お荷物をお持ちします』と言いなさい。けしてお嬢様の前へ出てはいけません。常に一歩後ろに控えていなさい。…いつも練習しているから出来ますね?」

先生の時の口調でいうと、麻衣は頷いた。
涙をハンカチで拭いてやり、頭を撫でる。

「麻衣、パパもお前にお友達が出来るのは嬉しいんだよ。だた…お嬢様以外のね」

「…はい」

大好きなパパをもうこれ以上困らせない為に。

「今言ったことを約束出来るね?」

「はい、パパ」

麻衣は約束をした。
絶対に、お嬢様の前には出ない。
敬語を使うことを。