社会問題小説・評論板

Re: お嬢様に虐められて虐めましょう。【自分投票】 ( No.133 )
日時: 2012/12/30 13:20
名前: 黒猫ミシェル (ID: uLhjJdVj)

車のドアの前で、父さんは待っていた。
私は父さんの胸に飛び込む。

「パパッ!!」

「…麻衣?」

運転席に座っていれば良いのに。
何故座らないで立っているんだろう。
そんなこと考える余裕もなかった。
もちろん、今は分かっているけど。

「麻衣、…お嬢様は?」

「あ、の…。パパ」

「麻衣」

怖いお父さんの顔。
それでも、言う気にはなれなかった。
麗華様が、まさか虐められているなんて。

「先に…かえってって」

「嘘だね?」

「パパ…」

「さぁ、お嬢様の所へ案内してくれるね?」

"いや"何ていえなかった。
余りにも真剣な目をしたお父さんに威圧されて。

「でも、パパ」

「何だい?」

嘘は言ってない。
学校の先生が言ってたもの。

「麗華様、トイレだっていってたよ」

「誰が?」

「…、メガネかけたせんせい」

「そう。江川さんが」

父さんは私の手を引いて、門をくぐった。
相変わらず顔が怖い。

「どこ行くの?」

「江川さんの所だよ」

「なんで?麗華…さまは?」

どうして麗華様の所へ行かないのだろう。
こうしてる今も、麗華様は辛い目にあっているのに。
多分…泣いてる。

「覚えときなさい、麻衣」

「?…うん」

「お嬢様ね、ここではトイレをしないんだよ」

トイレをしない?
自然現象がないのだろうか。
馬鹿な私はそう思う。

「なんで?」

「それは…あ、江川さん!!」

「ま…まぁ、来ていたんですか」

「失礼ですか今お時間をお借りしても?」

ビクッと、江川さんの肩が動いた。
私を相手していた時より、顔が真っ青だ。
いや。
真っ青を通り越して、蒼白になっていた。

「え、えぇ」

「麻衣、行くよ」

「はい」

「どぅぞ、お入りください」

通されたのは、校長室と書かれた部屋。
中には、これまた神経質そうな人が。

「どうした」

「校長、麗華様のお連れの方です…」

「石原歳三と申します」

チラっと父さんが私を見てきた。
それだけで、父さんが何を言いたいのか分かる。

「さきほど…」

「え、ええ分かってます!…芽依さんよね!」

「あ、はい」

もう一度自己紹介しようとしたが、遮られてしまった。
父さんが少し身を乗り出し、本題に入る。

「お嬢様…麗華様の件ですが」

「はい」

「芽依に、トイレにいると言われたそうですが」

「!」

「どう言うつもりですか?」

私はただ、交わされる大人の会話を見ていた。
私でも分かる。
この張り詰めた空気。

「失礼ですか、お嬢様が貴校のトイレを使う事はあり得ません」

「えぇ…」

「何故。この子にトイレにいるなどと言われたのですか?」

「それ、は…」

「麗華様は、何所におられますか?」

校長先生は何が何だか分からないと言いたげだが、女の先生は泣いていた。