社会問題小説・評論板
- Re: お嬢様に虐められて虐めましょう。 ( No.57 )
- 日時: 2012/07/24 22:34
- 名前: 黒猫ミシェル (ID: JbPm4Szp)
「聖花は僕に、麗華を殺す計画を…もちかけてきたんだ」
「何を、…何を、言ってるんですの、洸大様っ!!?」
さっきの困り果てたよ…という表情とは打って変わって、洸大は無表情になっていた。
それが普段の洸大とは違って見えて、嘘話を逆に信頼させていた。
「もちろん、僕は断ったよ。でも、聖花は、絶対にバレないからって…」
「婚約者の麗華を、大好きな麗華は、殺せないって言ってるのに…」
「麗華ちゃんなんてウザイですわぁー。調子のってますわぁー。って…」
「だから、僕…どうすれば良いかて…うっ」
矢継ぎ早に洸大が喋る。
聖花は、血の気が引いていくのが分かった。
ハッキリ言って、洸大何て家柄が良いだけの、甘っちょろい坊ちゃんだと思っていた。
麗華に従う事しか出来ない、忠実な雄犬。
そう、思っていたのに。
「何なのよっ!!何で泣いてるのっ!?嘘泣きじゃん!!全部嘘話じゃん!!」
「…本性がでたね、聖花」
「あ"?何言ってん…ぁ」
「ふっ。所詮、この程度ですわね。下賤の者は」
自らの失態に言葉をなくした聖花に、麗華は冷笑した。
それは、見るもの全てを凍らせてしまう様な微笑みで。
それにすら洸大は無表情で、洸大の実力を今、見ている気がする。
「な…何言ってん、ですわぁー。げ、下賤の者って!!」
「気付いていないとでも思っていたんですの?月城家も舐められたものですわね。知っていますのよ?あなたが捨て子だという事。あなたが、吹鳴家の養子である事。その、全てを。勿論、わたくしが下賤の者とただで一緒にいるはず、ある訳ないですわ」
「麗華はね、聖花…君、"うさぎ"だったんだよ」
「えっ…」
「面白いと、思いましたのよ?下賤の者が、どれだけ踏ん張れるか…。それが見たかったのですわ。わたくしにちゃんと"従えられる"のか。聖花さんがうさぎたちをわたくしと一緒に虐めているのを見て、愉快で仕方ありませんでしたわ。だって、同じ穴の狢ですのに…気付いてらっしゃらないのだもの。聖花さんの演技は素晴らしいと思いますわ。"ただ"それは、下々の中では、という事ですわ。洸大様を見まして?素晴らしいですわよね?だって、演技の技術は世界二位ですもの。今までこうして、わたくしに逆らう者をあぶり出してきたのですわよ?あなた如きが、敵うと思いまして?本当に…哀れですわ。教養のないものは…」
今まで朗々と語って麗華が、最後の方で声を落とした。
心なしか、少し悲しげに見える。
教養のない者へ、可哀想な気持ちでも湧いたのだろうか?
いや、それはないだろう。
麗華は、自分より下の生き物を虐めて喜ぶ人間なのだ。
そんな感情、持ち合わせているはずないだろう。
「バイバイ、聖花。もう二度と、会う事はないだろうね」
「ですわね。あなたは一生、地に這いつくばって生きるのですから。わたくしに逆らおうとした事、その身で償うが良いですわ」
体を震わす聖花が叫ぶ。
「わ、私のお義父さんが許さないわよ!!!」
「ご安心なさって?もう話はついてますわ。簡単なビジネスでしたわよ?」
「!!? 話が良すぎるわ!!裏でつくってるんでしょっ!!!?」
「ふっ。それは一番、聖花さんが知っているのではなくて?今まで半年、わたくしの側にいた、あなたなら」