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社会問題小説・評論板
- Re: ヤクブツGirl* ( No.1 )
- 日時: 2012/08/03 15:36
- 名前: 菜々希 奈菜 ◆mkSlAKVcCY (ID: CFE7lDA5)
- プロフ: http://www.youtube.com/watch?v
#1
「あんたの求めるものはこれか?」
私は小さな錠剤が何粒か入った袋をあいつ目の前に差し出した。
それを見た瞬間あいつの目が豹変した。狂った目で。
こいつは重症だな。
「ちょうだい!!!」
ばっと袋を奪おうとしたあいつの手を私は慣れた手つきで
つかみ、後ろ回しにした。
ぐり!ッと強い音を鳴らし相手はバランスを崩し、
うつ伏せで床に倒れた。私はその上に足を置く。
猫耳がついた黒いフードが取れる。
青い瞳をした私の目が無残なあいつを見つめる。
まだこの薬はあげられないな。
「あんたこの薬がほしいんでしょ?」
私は足をどかし、あいつの前にさっきの小さな袋を出した。
相手はゆっくりと顔を上げ、手を伸ばす。
それをあたしはひょいっとよける。
「……くだ……さい……!!」
か細かで弱った声が聞こえる。
私はため息をつき言った。
「金は?」
相手の体がビクッと動く。
こいつには前の金を支払ってもらってない。
だから今回前の分も払うといっていた。
「金はどうした?前の分も含めて。」
「あり……ません……」
小さな小さな声で相手が答える。
はぁ……。まったく。
「じゃ、あきらめな。」
あたしはそういって立ち上がり、相手の頭をけった。
ドッ と深い音がした。相手は気があるのかないのかわからない。
すると後ろから声がした。
「おい、やりすぎは禁物だぞ?買ってくれるオモチャがいなくなる」
暗闇の中に聞こえる声に私は後ろ向きのまま「わかってる。」
と返して、相手の目の前にまたしゃがんだ。
「前の金払ってくれなかったら……どうなるかわかってるよな?」
そういって私はすっと歩き出した。フードをかぶりなおして。
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