社会問題小説・評論板

Re: いじめっ子といじめられっ子と傍観者と偽善者 ( No.2 )
日時: 2012/10/22 15:33
名前: はこりんご (ID: mJV9X4jr)

第一章 『いじめはやまずにただ続く』


ゆっくり深呼吸。

そして、1年5組の教室へ入って行く。

いつもなら遅刻だが、今日は早く来た。
理由は特にない。

「あっ!夢ちゃ〜ん☆待ってたよ!」

気持ち悪い声が背後から聞こえた。
振り返るとそこにはやはり赤石栗香とそのとりまき。

吐き気がする。

また今日も地獄がはじまった。

「今日は早いね〜♪
 久しぶりに朝から一緒に遊ぶ?」

私の遅刻の理由は100%こいつらだ。
なぜいじめにあうために早起きしないといけない?

勉強なんてできる環境じゃない。先生も見て見ぬ振り。
そう、傍観者。

親友だった加奈も_________

「これあげるよ夢ちゃん☆」

バケツに入った茶色の水が頭上から降ってくる。
制服はびちょびちょ、いつものことだ。

「ごめ〜ん!大丈夫?
 これでふいて♪」

わたされたのはぼろぼろのぞうきん。

ここで受け取らないのもまた何かをされるだけだ。
そう言い聞かせ、そのぞうきんを受け取る。

「きちんと顔もふいた方がいいよ♪
 すっごい汚いし!ふいてあげよっか?」

栗香は私の顔にモップを押し付ける。
とりまきは笑い。傍観者は見て見ぬ振り。

もういやになる。
すべて、学校も世界もすべてが。

「あれ?まだ汚いよ〜?
 あっ!
 もともときったない顔だったもんね☆
 ごめん。
 どんな顔か覚えてなかった♪
 なんでって。
 あんたキモイから顔まともに見れないもん!」

栗香の言葉にとりまきはうなずきながらも大爆笑。

そんなに面白いのだろうか?人を傷つけることが。

そんな時、偽善者の光達沙奈が来た。

自分が正しいと思い込み。
間違った価値観も人にうえつける、
見ていてうざい人。

「やめなよ栗香!」

沙奈が来たところでいじめはおさまらない。
もっとひどくなるだけだった。

「沙奈も一緒に遊ぶ?」

沙奈は何も言えずただ一歩ずつ後ろへ下がって行く。

助けにくるならきちんと助けろよ!
いつもそう思う。

中途半端。
その言葉がぴったりだろう。

「夢ちゃ〜ん。汚れちゃったね!きれいにしよっか♪」

そう言うと私は無理やり水道までつれていかれた。

私は少し抵抗しながらも、
半分はあきらめていた。

こいつらはもうくるってる。
もう無理だ、と。

水道はなぜかつまっていて、
水がたまっていた。

「はい。
 ここで顔洗いなよっ!」

栗香が私の顔を水の中へ入れる。

苦しい。
ただその言葉が頭に浮かんだ。

私が暴れ、
水が飛びちり栗香たちの制服にかかる。

するととりまきの1人が私のおなかを殴った。

私は咳き込む。
しかし水の中なので咳をした瞬間息が苦しくなった。

_____死ぬ。
本気でそう思った。

栗香はおなかを殴った5秒後ぐらいに私の髪をひっぱった。
私は水中から顔を出すことがやっとでき、
咳き込みながらも必死に息をした。

私は思った。
死にたいなんて言うけど、
私は死ぬのが怖いんだ。
だからこんなに必死に息をしているんだ、と。

「キモ!こっちむいて咳しないでくれる?」

栗香の声が聞こえたと同時にチャイムが鳴る。
栗香は急いで教室へ戻って行った。

私はその場で呼吸を整えてから教室に戻った。

しかし、教室にはカギがかかっていて入れなかった。
栗香が中からカギを閉めたのだろう。

あけて!と叫ぼうとしたが、
さっきので声がうまくでなかった。

私はドアをたたいて誰かがあけてくれるのを願った。
しかし、だれも開けてはくれず、ただ

「なにあいつ。キモ!」

という栗香の声が聞こえた。

私はまたチャイムが鳴るのを待った。
1人でびしょびしょのまま。

寒くて、死んでしまいそうだった。