社会問題小説・評論板
- Re: いじめっ子といじめられっ子と傍観者と偽善者 ( No.28 )
- 日時: 2012/10/20 15:05
- 名前: はこりんご (ID: mJV9X4jr)
チャイムと同時に席に座るクラスメイト。
私も席に座った。少しこげた私の机は、落書きでいっぱいだった。
私はカバンから教科書を取り出して、机の中へ入れた。
もう、燃やされる心配はないから。
そんなとき、ガラガラとドアの開く音がした。
振り返ると目をまっ赤にした栗香が立っていた。
クラスメイトは、これまでおそれていた栗香をケイベツの目で見た。
栗香は今にも泣きそうな顔で自分の席に座った。
そしてまたドアの開く音、先生が来た。
「えぇ。出席とります。」
先生は生徒の名前をいつも通りに呼んでいった。
「佐々木」
「はい」
「瀬戸」
「‥‥‥はい」
先生は私の名前を呼ばなかった。
いじめがまだ続いていると思ったのだ。
「先生、夢ちゃんのこと、とばしてるよ」
沙奈の一言に先生は真っ青な顔で言った。
「あぁ、すまない。そうだったな
杉沢、」
「‥‥‥‥‥‥はい」
私は小さく答えた。
沙奈が言った言葉が衝撃的だったのだ。
あたりまえのことかもしれないが、うれしかった。
私はここにいる。確かにここにいる。と思った。
しかし、私がこうなった原因も、沙奈だと言ってもいい。
私はカバンから本を取り出して、先生の話は無視して読んでいた。
どうせ、プリントくばって、今日の連絡をしたら終わりだろう。
チャイムが鳴ると、先生は教室から出て行った。
「夢ちゃん。私たち、友達になろうよ♪」
沙奈がそう言うと私は少し苦笑いをして言った。
「私。あなたとは友達になれない。」
沙奈は驚いた表情で私を見たあとにわらって言った。
「放課後、体育館うらで話したいけど、来てくれるよね?」
私は無表情でうなずいて教室から出て行った。
むかった先は中庭。
よく日のあたるこの場所は私のお気に入りだったが、いじめがはじまると来なくなった。
いや、来れなくなった。
「久しぶりだね。夢」
背後からの声に驚いた。しかし、振り返ると微笑んだ。
後ろにいたのは渚羽琴音、1つ上の学年、中学二年の親せき。
いつもやさしくしてくれた。そして、よくここであっていた。
「ずっと来ないから心配してたんだよ。」
涙があふれた。心が温かくて、そして痛かった。
琴音ちゃんにだけは、いじめのことを隠していたかった。
しかし、涙は止まらなかった。
「!?‥‥‥‥どうかしたの?」
私は琴音ちゃんにすべてを話した。