社会問題小説・評論板

Re: いじめっ子といじめられっ子と傍観者と偽善者 ( No.30 )
日時: 2012/10/21 02:14
名前: はこりんご (ID: mJV9X4jr)

「そんなことがあったんだね‥‥‥‥」

悲しそうな顔でうつむく琴音ちゃん。

私は胸の痛みを必死にこらえてわらった。

「でも、もう終わったし!大丈夫!」

琴音ちゃんはもっと悲しそうな顔で私を見た。

「本当に?
 まだ辛いんじゃないの?
 無理しなくていいんだよ。」

琴音ちゃんの優しい言葉に私はまた泣きそうになった。

しかし、私はわらった。

「大丈夫。それより今は‥‥‥‥‥」

「‥‥‥‥?
 なに?」

琴音ちゃんは不思議そうに私を見た。

今度は本当の笑顔で私は答えた。

「復讐したいの」

琴音ちゃんは真っ青な顔で私の手をつかんだ。

「な、何言ってるの!?
 そんなのダメ!」

今までみたことないぐらいに慌てていた。

「でも、あいつらは私を傷つけた。
 私にはあいつらを傷つける権利がある!」

琴音ちゃんは何も言わずに、うつむいた。

嫌われてしまっただろうか?

そうだとしても、私の思いは変わらない。

栗香とそのとりまきと加奈に復讐する。
傍観者と偽善者はどうでもよかった。
私がうらんでいるのはいじめっ子だけだ。

今回、光達沙奈はいじめっ子ではなかった。
だから復讐するつもりはない。

「復讐って、何するの?」

「まだ考え中。
 でも、安心して。犯罪とかはしないから」

琴音ちゃんは少しやわらかい表情になった。

「でもね、人を傷つけることはいけないことだよ。
 夢もわかってるでしょう?」

琴音ちゃんはやさしくそう言うと私の手をはなした。

「わかってるよ、でも。
 こんな理不尽。許せない!
 今の世の中いじめがおきても、法律でさばかれるなんてことほとんどない。
 そんなの理不尽すぎる。
 だから私は、あいつらに復讐するの!」

琴音ちゃんがはなそうとした時、ちょうどチャイムがなった。

「じゃあ。教室に戻るね」

琴音ちゃんは苦笑いで走って行った。

私はゆっくり歩いて教室へむかった。