社会問題小説・評論板

Re: 椅子取りゲーム ( No.32 )
日時: 2013/01/01 22:50
名前: 小説馬子 ◆MiJ.aMrglc (ID: jwGQAuxW)  


「いやぁ、ラッキーだったぜ。
センコーも生徒も誰もいなくて」

 だから決行したのか。だめだ……。こりゃ、バレない。

 俺は健介に歩み寄る。

「あのさ、お前汚すぎるよ?

早くこの教室から出てけよ。教室が汚れる」

 俺はそう言って、掃除用具入れから汚いモップを取り出した。

「じゃなかったら、俺優しいからきれいにしてやるよ」

 俺はモップを健介の顔に押し付ける。

 抵抗してくれたら、俺だってやめられるのに。
 なのに、なんでだ……。

 あいつは何一つ言わず、ただじっと待っている。

 まるで、悪いのは自分だと言うように。違う、悪いのは俺らだって。

「健介!!小田君、集団で虐めるなんて、卑怯よ!!」

 吉田が学校に着いたのか、駆け寄って来た。

「みき〜。あんたが行く方向がそっちじゃなくてこっちでしょ」

 亮太が大好きな女子の集団(通称:ファンクラブ)の一人が吉田の襟を掴んで引きずっていく。

「あんた、よくそんなブサイクちゃんで学校来れるよね。かわいそうだから、お化粧しよっか!」

 一人がマジックペンを取り出して、頬に『バカ』と書く。

「おい、お前ら吉田は悪いことしてないだろ?」