社会問題小説・評論板

Re: 椅子取りゲーム ( No.36 )
日時: 2013/01/06 17:06
名前: 小説馬子 ◆MiJ.aMrglc (ID: 271PzwQK)  


「ははは!何だよそのザマは?

そんなにみきちゃんが好きなのかよ!?」

 数分後教室には、吉田の体操着を着た健介がいた。

 俺のせっかくの助けも台なしにされてしまった。

「みきちゃん、聞けよ!!健介はお前のことがだ〜いすきだとさ!!」

 亮太が叫ぶ。

 すると、教室の中央にあった女子の円がこっちの方向に開いて、中から傷だらけでうずくまってるの吉田がこっちを見た。

「健介っ!!」

「てめぇ、まだわかんないよーだね。いつまで、クラスの、裏切り者を、愛するん、だっ!」

 周りの女子が、言葉を切るたんびに吉田を蹴る。

 やがてまた女子に囲まれ、見えなくなってしまった。

「これはこれは、吉田の素敵な匂いが嗅ぎたかったのかな?
健介〜」

 俺は端から見ると脅すように見えるよう健介の肩に腕をかけた。

「……なんで、体育着入れてやったのに着なかった?」

 俺は健介の耳元で小声できいた。
 これも周りからみれば脅してるように見せるため、にやけながら。

「祐樹だったのか……。

いいんだ、これは俺が弱いばかりに皆に迷惑をかけた罰なんだ」

 健介も怯える演技をしながら話す。

「でも、吉田がいじめられてるのはとばっちりだろ?」

「ああ、悪いなとは思ってる。
ただ、あいつは塾で大丈夫だと言ってくれた。

ただ、できればあいつのことだけでも、俺を守ろうとしたその勇気で庇ってくれ」

 健介はそう言うと、涙目にした。

「祐樹様、お許しください!」

 土下座した。
 そして、理解する。この内緒話が全部脅してたように見せるため、締めくくりをしてくれたんだ。

そして、俺へお願いするサインでもあるんだ。

「はっ?俺に向かって何言っちゃってんの?」


キンコーンカーンコーン


ちょうどチャイムが鳴った。一時間目は……HRだ。