社会問題小説・評論板

Re: 椅子取りゲーム(お待たせ!執筆再開!!) ( No.49 )
日時: 2013/01/21 18:53
名前: 小説馬子 ◆MiJ.aMrglc (ID: ChJEPbqh)  


 次の日、教室には重苦しい空気が蟠っていた。

 まだ吉田も健介も来ていない。下手したら、不登校にもなりかねない。

 昨日のあんなに綺麗な友情を見た後は、いじめてた俺らにとってはなかなかいい思いはしないしな。

「なあ、祐樹。俺ら、もうあんなことやんなくていいんじゃね? 」

 亮太がこっそり近づいてきて、ぽつりって呟いた。

「あぁ」

 俺は最初からあんなことやりたくなかった。

 こんなこと、言い訳にしか聞こえない。だって、止めるチャンスはいつでもあった、助けられるチャンスだってもっとあった。

 俺はただ、『集団』の恐怖に立ち向かえなくて、そのツケを全て健介に押し付けてたんだ。

「祐樹。それはお前だけじゃない。ほんとは気付いてた、お前がいじめを好き好んでやっていないこと、なのに誰も止めなかった」

「……なんで!考えてることわかんだよ!? 」

「昔からの仲だろ!! 何考えてるかくらいわかんだよ! 」

 エスパーかよ。怖い奴だな〜。

 亮太が俺を真っ直ぐ見つめて言う。

「俺だけじゃない、いじめてた奴大半が気付いてた。祐樹がいじめるとき、きまって唇を薄く噛むんだ。きっと無意識なんだろ? 」

「そ、そうだったのか……? 」

「そうなんだよ。お前だけの責任じゃねぇ。皆で謝るんだ。健介にも、美紀ちゃんにも…… 」

 気づいたら、周りにクラスメート全員が集まっていた。皆、俺の顔を見て頷いてくれる。優しい奴らめ!!

「みんな、ごめん。そして、ありがとう!! 」

「祐樹、謝る相手が違うだろ!?」

 誰かが叫んで、笑いがおきた。久しぶりだ。

 こんなに心から笑えるの、笑ってくれることも。


 ガラッ


 教室の扉が開かれる音が聞こえた。