社会問題小説・評論板

Re: 椅子取りゲーム(参照1000突破!!ありがとう) ( No.50 )
日時: 2013/01/26 23:53
名前: 小説馬子 ◆MiJ.aMrglc (ID: CwTdFiZy)




 教室に入ってきたのは健介だった。

 俺は一歩ずつ、教室の扉に向かってゆっくりとゆっくりと歩く。


「健介、ごめん!! 」


 俺は膝から崩れ落ちてそのまま土下座した。

「こんな一言でお前にやったことが許されるとは思ってない。なんなら、気が済むまで……」

「やめろ」

 俺の言葉を遮るように健介は静かに、しかし威厳がある声で言う。

「あれは、お前だけの問題じゃなかった。俺も悪かったんだ。」

 健介は土下座した俺に目線を合わせるようにしゃがんだ。

「祐樹が謝ったってことは、みんなももうやめるってことか? 」

 しゃがんだまま、健介がみんなの方に向かって言う。

「ええ」「ごめんな」
「今までほんとに……」

 みんなが首を縦に振る。

「そっか」

 健介は立ち上がると俺の前に手を差し出した。

「仲直りの握手」

 俺はその手を握って立ち上がった。

 シャッと

 誰かがカーテンを開けた、眩しいくらい明るい光が教室いっぱいに満ち溢れる。

 まるで、今までの重く、冷たく、刺々しく、どうしようもない空気が嘘のように。
 誰もが、ハッピーエンドを信じた。






 まさか、一瞬でこの空気も光も消し飛ぶとは知らずに。















二回戦終了。