社会問題小説・評論板
- Re: 椅子取りゲーム(参照1000突破!!ありがとう) ( No.52 )
- 日時: 2013/02/02 12:03
- 名前: 小説馬子 ◆MiJ.aMrglc (ID: AWGr/BY9)
ゆいなは……、きっと……、みさきのことをよくは思ってないはず。
まえに、偶然きいちゃったんだ。誰もいない美術室での独り言。
「ウチは奴隷でも、下っ端でもない…… 」
その後何言ってるかはわかんなかったけど。本人も誰にも聞こえないくらいの小声だったけど。
でも、何故かあたしにはちゃんと聞こえたんだ。
「あたしは、みきはかわいそうだったと思う。やりすぎたんだ」
あたしはカフェの椅子から立ち上がって机を叩いた。周りのお客さんがびっくりしてこっちを見るけど、気にしてらんない。
机の上にあった紅茶がピチャンとこぼれる、机に2、3滴の琥珀色のしずくがたれた。
「は?ちさと、あんた正義ぶっちゃう感じ?」
みさきは相変わらずのご反応。そんな、上から目線でものを言うあんたとはもう付き合えない。
ゆいな、今こそこの上下関係を覆すときだ。
「ちさと、一つだけ言わせて。」
ゆいなはゆっくりと口を開く。
「自分が悪い、相手がかわいそうだ、そんなこと思って善人ぶってるかもしれないけど。止めなかった時点で、参加してた時点で、お前は大罪人だよ?」
そんな、なんで……。
ゆいな、あたしの味方だと思ってたのに。
あたしには絶望の隙も与えないとでも言うように、みさきが言う。狂った笑みを浮かべて。
「ちさと、あんたには罪を着てもらうから。これ、会計済ましといて」
みさきは領収書をあたしの前に置いた。抹茶ラテ、キャラメルマキアート、紅茶。二人は甘ったるいものが好きなんだ。
まるで、自分がいる世界を表してる。
「あんた、いずれ学校退学だし。お金に余裕も生まれるでしょ?」
瞬間、あたしの思考回路は爆発した。
なんでなんでなんでなんで!!
あたしとゆいなとみさきは小学校からの仲良しだった。あたしは、二人についていこうと、勉強もオシャレも何もかも頑張った。
なのに、なんで!!
二人はわざとのようにローファーのカツカツという音を鳴らし、店を出ていった。
−−机に突っ伏して泣いているあたしなんか、見もせず。