社会問題小説・評論板

その瞳に何かが映る時、私は何を感じるのだろうか。 1話-1 ( No.3 )
日時: 2014/11/25 03:25
名前: ミム (ID: B594orir)

1話


何を得ることも無ければ、何も失うことも無い、そんな毎日。

普通に仲の良い友達も家族もいて、それが当たり前だと思ってた。

だから何も考えてなかったんだ。
それが「幸せだ」とか、「楽しい」だとか。

私にとっては普通のことだったし、周りも皆私と同じだと思っていたから。



————でもそれは違ったんだね。



———4月


「おはよ!柚葉!」

「おはよう!愛!」


とうとう4月が来てしまった。


そう。
今日はクラス替えの日だ。


「一緒のクラスになれるといいね〜」

「そうだね!」


私は友達、あいと同じクラスになれる事を心から願っていた。

愛は、昔からいつも私の傍にいてくれた大切な友達だった。
楽しいときも悲しいときも悔しいときもずっと一緒にいてくれた。
だから私はそんな愛が大好きだったんだ。


「では、クラスの紙を張り出すので後ろに下がっていてください!」


何となく気の弱そうな女の先生が張り出し板の前に立つと、大きな長い紙を2人係で慎重に貼りだした。


「それでは自分の教室を確認して、その教室の席に着くようお願いしますっ。」


女の先生は少しばかり緊張したような声で言うと、その場から少し離れた。


その瞬間、周りは一斉にクラス替えの紙の前に集まった。
勿論私も急いで貼りだしの前に行く。


「柚葉何組!?」

「えーっと…待って!!まだ見つけてない!愛は何組!?」


混雑で流されそうな中、私達は必死に自分のクラスを探し、伝えようとしていた。


「うちは1組だよ!」

「了解!私は……あっ、あった…!」


私は自分の名前を見つけると、少しずつ目線を上に変えていった。


どうか…どうか…愛と同じクラスでありますように…!




「あっ……!」

「柚葉あった!?」

「う、うん…」



思わず、目を逸らしてしまった。



だって愛と違うクラスだったから…



「何組だった?」

「4組だったよ。違ったね…アハハ…」


落ち込んでいる私を愛は心配そうに見つめると、人混みの中手を取り、その場から抜け出すように手を引っ張った。


人混みから解放されると、愛は私の両手を取り、必死な顔で言った。


「大丈夫だよ!クラスが変わっても、うち等は何も変わらないんだから!」


愛…


優しい愛の言葉に涙が出そうになる。


「うん!ありがとう!」

「何も良いって!!よしっ、教室に行こ!」

「そうだね!」


私達は何も迷うこと無く、教室に向かった。