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社会問題小説・評論板
- Re: 【壊れた教室】そこに居たのは、 ( No.16 )
- 日時: 2014/02/15 11:57
- 名前: 杏香 ◆A0T.QzpsRU (ID: HmBv7EUE)
その日、私はいつも通りの時間に学校へ行った。今日はいつにも増して、寒さが身にしみる。手袋をしているというのに手がかじかんで仕方がないし、そのせいで靴を脱ぐのに手間取ってしまった。
早く教室に入って暖まりたい、そう思いながら私は足早に教室へ向かう。
階段を上っている途中、踊り場にある大きな鏡が目に入った。一瞬ちらりとそちらの方を見ると、私の頬は寒さで紅く染まっている。
特に何も思う事なく視線を戻し、私は階段を駆けていく。
やがて教室に着くと、いつもは大抵開いている扉が今日は閉まっていた。
面倒だなと思いつつ扉を開けた瞬間——大勢の視線が私に突き刺さった。
痛いくらい、静かな教室。私が固まったまま動けないでいると、すぐにその視線は私から外された。
そして静かだった教室がまるで嘘のように、皆騒ぎ始めている。
……さっきの視線は、一体何だったのだろうか?
それに今はまだ早い時間なのに、来ている人が多すぎる。私は疑問に思いながらも、自分の席に着いて鞄を下ろす。
紗希ちゃんは、まだ学校に来ていなかった。
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