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社会問題小説・評論板
- Re: 【壊れた教室】そこに居たのは、 ( No.22 )
- 日時: 2014/02/15 21:27
- 名前: 杏香 ◆A0T.QzpsRU (ID: HmBv7EUE)
あの悪口は、私の事なんかじゃない……。頭の中ではそう、理解しているはずだった。
なのに——それなのに私は、あの言葉が全て自分に向けられていると錯覚してしまう。そのせいで執拗に浴びせられる罵詈雑言に、思わず気分が悪くなる。
本当はこんな教室、今すぐにでも抜け出したかった。それでも私は、平静を装って本を読む。
私がいつも通り本を読んでいると、後ろの方からクスクスという笑い声が聞こえてきた。それを聞いた瞬間、私の事を笑っているのかとまた不安になってしまう。
忘れようとはしたのだが……笑い声がどうしても気になってしまい、私は勇気を出して振り向いた。
視界に入ったのは、清水さんとその友達。どうやら、笑っていたのはその2人らしい。
2人を怪しまれない程度に見ていると、突然清水さんが笑顔で私にこう言ってきた。
「だいじょーぶ、詩織ちゃんの事じゃないから」
一体何が大丈夫だと言うのだろう。私は疑問に思いつつも、清水さんに愛想笑いを返す。
「あっ、うん……何かごめんね」
別にいいよー、という彼女の声を聞いて私はほっと一息ついた。会話を終え、ようやく視線を元に戻す。
さっきの不安が、思わず顔に出てしまっていたのだろうか。そう思いながら何気なくイスを引くと、また2人が笑い始めた。
一体、何がそんなに面白いのだろう? 目線だけを動かしてその原因を探っていると、"それ"は意外にも私のすぐ近くにあった。
私が見つけたのは紗希ちゃんが持っている、手紙の様な物。それは、1枚だけではない。ここからではよく見えないが、ざっと数えて20枚はある。
その1つに書かれていた文字を見て、私は一瞬自分の目を疑った。
"サイテー女"
紗希ちゃんがその時、どんな顔をしていたのかは分からない。
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