社会問題小説・評論板
- Re: あなたとわたしの世界観 ( No.4 )
- 日時: 2013/02/10 19:42
- 名前: 藍永智子 ◆uv1Jg5Qw7Q (ID: yBm8.USt)
私と琴音ちゃんの仲が一番良かったのは、おそらく小学校六年生の時。
後になってから分かったのだけれど、彼女はそれまで一緒にいた、もしくはつるんでいた——宮部夏加さんに散々苛められ、傷つけられた末に捨てられたときだったらしく、丁度クラスが一緒になった昔からの顔なじみの私に乗り換えるには、これ以上ないってくらいの絶好のタイミングだったんじゃないかしら。
彼女から聞いた限りの私が分かったような口を利いてはいけないと思うからあまり詳しくは言いたくないのだけれど、それは「とてもひどかった」らしい。
悪口を言われる、無視されるなんてまだまだ序の口。——夏加さんとそのお友達は、琴音ちゃんを好きなだけ殴るは蹴るは。
今でもそのときの「傷」は残っているそうよ。体にも、心にも。
正直いって、前者の方は怪しんでいるのだけど。
心の傷、というものだって結局は身体的なモノに繋がった——繋げてしまったらしいのであまり大差はないように思える。
苛められ殴られ蹴られ、精神的にどんどん追い詰められていった彼女は「死」というものに惹かれていったの。
死に憧れを抱きながらも「生」きることを強いられた彼女にとって、その両者の境目は曖昧になってきた。
——果たして自分は生きているのだろうか、死んでいるのだろうか。
それすらも分からなくなった彼女は段々、生きている、ということが実感できなくなってきたのだ。
それでも心のどこかでは生きたい、と願っていて。
それでも心のどこかでは死にたくない、と願っていて。
彼女は「生の証」を求めたのだ。自らの体を流れるそれはとても温かく、生きているということを改めて実感させてくれた。
琴音ちゃんはとっても強い人だと思う。悩んで悩んで、境目が見えなくなるほど「死」のサイドに近づいたというのに——最終的には「生きたい」と願い、願っていないにせよ選び、リストカットという殺傷的行為を行ってまで自らの命を守り抜いた。
この言葉は、少し危険かなと思ったのだけど、私の頭ではそれ以外に当てはまるものを思いつけなかったから勘弁して頂戴ね。
これから話そうと思う事は、小学校六年生の時——彼女が「生」と「死」の間で揺れていたときのもの。
多少は私の私情も交えながら、になってしまうけれど、しっかりと聞いておいて。
何度も言うようでくどいかもしれないけれど、ここからが私の償いになるべきことよ。自分のしたことをちゃんと聞いて、どれだけわがままだったのかを知って。
これはまだまだ甘い所よ。——いえ、全然無いわね。
それでも全てを聞くならば、ここから始めなければならないのだから。
小学校六年生、東日本大震災——東北地方太平洋沖地震、とかも呼ばれていたけど——の影響で予定されていた福島県の会津に行けなくなり、代わり——といってはなんだけれど、岩手県に修学旅行に行ったときのことよ。