社会問題小説・評論板

Re: あなたとわたしの世界観【参照300突破感謝】 ( No.32 )
日時: 2013/03/13 21:35
名前: 藍永智子 ◆uv1Jg5Qw7Q (ID: bcCpS5uI)

 そうそう、小学校時代にもう一つの大きなことがあったの。
 小学五年生の時に一人の女の子が、当時私たちが在校していた学校に転入してきたのよ。
 その女の子の名前は、桜城るい。るいちゃんって私は呼んでいるわ。
 るいちゃんの第一印象は「目が大きい」ということだった。くだらないかもしれないけど、それが一番最初に思ったことだったのだから、仕方ないわよね。
 私は、誰か転入生がクラスへと来たときには、まず周囲の人との接し方を観察して、それから性格とかを気にするようにしているのだけれど、彼女は好奇心をむき出しにして群がってくるウチのクラスの女の子達に対して、とにかく丁寧に——逆に言えば、誰一人として抜きんでて気に入ったとかいう態度は見せずに、まったく同じように——応じていて、いつも悪口談義ばかりに華を咲かせている女の子しか見たことのなかった私は、彼女に良い印象を持った。
 言ってしまうのは少し気おくれするのだけれど——時間が経つにつれて、るいちゃんが周りから浮いているということは、よりはっきりと分かるようになった。
 他県からやってきた転入生という存在はいつだって、田舎者ばかりが集まっている学校にいれば注目の的となるけれど、それはほとんどが良い意味での「注目される」という場合を指していて、るいちゃんのように悪い意味ではない。
 彼女は都会の方から引っ越してきた、というふうに言っていたけれど、行動や言動は田舎者の中にある都会人の「それ」とはかけ離れていて——そのせいで、彼女はクラス内で孤立する羽目になってしまったのだと思うわ。
 まあ、とにかく、るいちゃんの性格とか考え方とかがある程度分かってきた頃、ついに私は彼女に話しかけてみる事にしたの。
 丁度その頃はまだ琴音ちゃんと仲が良かったから、二人でるいちゃんの席へと近づいて行って、恐る恐る話しかけたことを覚えているわ。
 確かあれは、休み時間だった筈。るいちゃんは席に座って……本を読んでいたのかしら。もしかしたら物語を書いていたのかもしれないわ。とにかく何かをしていたるいちゃんに話しかけたの。
 話しかけた内容は、覚えている必要も無いくらいしょうもないものだった。ただとにかく、「初対面での印象が大事!」っていう何処かで読んだことがあるキャッチフレーズを頭の中で言い聞かせて、悪い印象を与えてしまわないように、って必死になっていたわ。
 
 初めて、るいちゃんと遊んだのはいつだったかしら。

 その会話がきっかけで、私は「志保と琴音」という括りから「志保と琴音とるい」という括りに入れられるようになった。
 琴音ちゃんも随分彼女に気を許したらしく、引っ込み思案の彼女にしては珍しいくらいあっという間に打ち解けていた。それはもう、驚いてしまうくらいだったわ。

 つい最近までは、三人で行動することが当たり前になっていたしね。

 それも、私が壊してしまったせいで——今となっては、過去の話なのだけれども。