社会問題小説・評論板
- Re: 裏切られるのに、慣れただけ。【オリキャラ募集中!】 ( No.69 )
- 日時: 2013/12/14 00:42
- 名前: くう ◆RbIa02uyMM (ID: bIbZMEkj)
- プロフ: http://いじめるところからは基本優香目線です;
#9 未練(優香視点)
香織に制裁を与えよう、そう言われて頷いたはいいけれど、香織が実際クラスに危害を加えたことは一度もないのが事実だ。私の脳内では久々に天使が顔を見せ、悪魔と議論していた。
ねえ、やっぱりやめようよ。香織は私の大切な……。
まだそんなことを言っているのかい?言っちゃ悪いけど、君に勝てる要素はないんだ。学力だって、人脈だって、運動だって、外見だって。それなら……、やっぱり、やるしかないんだよ。豊の事だって多少なりとも未練はあるんだろう?
私はハッとした。そうだ。私は黛君の事が好きだった。香織も応援してくれてた。一緒に部活の差し入れに行ったり、一緒に帰ろうって誘ってくれたり。
でも。
でも、同じ行動をしていたら、目立つのは当然香織の方。黛君が香織の事を好きなんだって知ったのは、そう、あの日。
***
「香織、今日、私、黛君と、目が、合って、そんで、黛君が、笑って、くれて……!」
廊下の端から超特急で走ってきた私は、息切れしながら香織に報告をしてた。
「香織、これって、脈ありって、こと、かな?」
その時の期待は、数秒後に無残に断ち切られた。
「うん!絶対黛君も優香の事好きだって!待って、今からさりげなくメールで聞いてみる!」
「……え?」
私の顔は、面白いように輝きと色を失っていった。
「いつ……アドレスなんか、知ったの?」
「あ、なんかこの前校舎裏に呼び出されてさー、アドレスと電話番号書いたメモ渡されたの。教室の中でやりゃーいいのに、どうしてあんな寒いとこに呼び出すんだろねー?」
そうだ。香織は鈍感だっよね。私にそれを今まで報告しなかったのは、個人情報の漏洩とかを防ぐためなんだろうけど、私には抜け駆けにしか思えなかった。
「あ、優香もいるー?」
「う、ううん……、私は、いいや。友達から聞きだすのって、なんかずるいし。」
語尾が若干震えたことには気づかれてないはずだ。
そのあと、自然な流れであの二人は付き合い始めた。
なんで?香織は黛君の事好きじゃなかったじゃん。
私に対するあてつけ?
「香織……、二人はその……恋人同士、なの?」
「あ……、うん。断ったんだけど、私も、その、だんだん好きになっちゃって……。あの、ずっと言わなくてごめん。優香が黛君の事あんまり好きじゃなくなったら話そうと思ってて……。」
「え、あ、ううん!全然大丈夫!美男美女で、お似合いだよー!私、親友の恋邪魔するほど心曲がってないから!その代わり……別れたら許さないんだからね!」
おどけて言ったつもりでも、いくら香織が鈍感でも、流れた涙は隠せなかった。
「うん……。ありがとう。私、優香が親友で本当に良かった。私、優香の分も幸せになるからね。」
***
ねえ、香織。私、香織がいくら幸せそうだって、いくら一緒にいる時間が減ったって、香織に罪はないっていって頑張ってきたよ。
でも、もう無理なの。我慢や悔しさの防波堤は案外もろくてさ。ひびがいくつも入ってる。そのひびが割れたらもう流れ出した水は戻らない。
ごめんね。
もう『親友』に終止符を打とうか。