社会問題小説・評論板

Re: 裏切られるのに、慣れただけ。 ( No.8 )
日時: 2015/03/18 23:21
名前: くう ◆RbIa02uyMM (ID: xV3zxjLd)

#1 栄枯盛衰

午後12時30分。

今は中学校の卒業式が終わって、緊張感の抜けた旧中学三年生たちが写真撮影や寄せ書きをしているところだ。
泣いている人も言れば少し照れたような表情をしている人もいる。
大体2,3人くらいのグループがひしめき合っているその中で、私の周りには異様ともいえる人だかりができていた。



先輩が、後輩が、友達が、先生が、皆私の旅立ちをかみしめてくれていた。
皆が地元の高校に行く中、私と私の親友の香織だけが遠く離れた東京の学校に行くことになったのだ。




「「「香織ー!!!」」」
「うわあっ!?」



感傷に浸っていると、飛びついてきたのは大好きな家族達。

「お父さん、今日仕事じゃなかったの!?」
「相手との取引をサボるのなんて、娘の卒業式に出ないことに比べたら屁でもない。」
「馬鹿じゃないの」


自分を囲んでいた輪から少し離れ、友達と話す時よりも距離を詰めて。
卒業式に大泣きしていたお父さんは、目が腫れぼったくなっていて、見ているこちらが照れくさくなってくる。
ぶっきらぼうに話してはいるものの、私の頬は緩むのを止めない。


***
親にも友達にも愛されて、毎日、顔が痛くなるほど笑ってた。

どちらにも愛されなくなった今、たまにこの頃を思い出してみることがある。


思い出してどうということはないけれど。